インターネットの普及には目覚しい【1】。 かつて作家、ジャーナリスト、有名人などにしか許されなかった「自分の意見に世界を発信すること」が、誰にでもいつでも可能になった。しかし、そこには匿名で【2】無責任で悪意に満ちた言葉がひとり歩きする危険性がある。 一方、話している人が特定できる場合では情報を話す人のステイタスや状況などいかんでは、先入観を持って【3】。「有名な大学だから、きっと正しいだろう」とか、「女だから、不合理だ」とか……。話すほうも、立場によっては遠慮が生まれる。「上司のいうことは間違っているけど黙っていよう」とか、「反対したら、女らしくないと思われるかも」と口をつぐむこともあるだろう。 こんな話がある。あるホームページ上で、議論が起きた。その中で、ある人物Aが興奮して攻撃的な文章を書き込み、対するもう1人Bが冷静かつ知的に、しかもユーモアたっぷりに答えた。誰が見てもBの圧勝であった。 その後、仲よくなった読者たちが実際に会う、いわゆるオフが開催された。 実際に顔を合わせると、Aは地位のある初老の男性で、Bは何と小学生の少年であった。もし最初から顔が見えていたら、みんなはB少年のいうことに耳を傾けただろうか。 「口が立つ【4】、しょせん子どもだ」と無視したかもしれない。顔が見えないからこそ、先入観なしにお互いの意見を聞き、「Bの意見は正しい」と判断し得たのだ。 ネットの世界は「【5a】言ったか」ではなく、「【5b】言ったか」で評価される世界と言えよう。

101. 【1】

1. ことである

2. といえる

3. ものがある

4. ところだ

102. 【2】

1. あるにもかかわらず

2. あるがゆえの

3. はあり得ない

4. あるにしては

103. 【3】

1. 聞きがちである

2. 聞くほかはない

3. 聞きようがない

4. 聞くべきだ

104. 【4】

1. ようだから

2. からには

3. といったって

4. 一方では

105. 【5】

1. a 大人 / b 子ども 

2. a どう / b だれが

3. a えらい人 / b 女性

4. a だれが / b 何を

十数年前、若い男性にとって車は、女性をデートに誘うために欠く【1】。たとえお金がなくても、借金してまでも、男性は少しでもよい車を買おうとした。 【2】今、若者たちはそれほど車を欲しがらない。 「だって、地下鉄も電車もあるでしょ。そのほうが安全で速いじゃないですか」と言う。女性たちも「無理して大きな車を買って、それを自慢してる男性なんてかっこ悪いですよ」と笑う。 それは【3】きわめて堅実で健全である。環境にもよい。だが日本経済を大きく支えてきた自動車産業にとっては、若者の車離れは痛手である。 車だけでなく。お酒をあまり飲まず、仕事に関しても、自分や家庭も犠牲にしてまで【4】、と考えている若者が多いという。 いや、そもそも「結婚して家庭を築かなければ」という意識も薄い。結婚しても、従来の日本の考えとは反対に、【5a】のほうが収入が多ければ【5b】が家庭で家事・育児をしてもかまわないと思う若者もいる。 日本の高度経済成長期を生きた60歳以上の年代にとって、そんな若者がはがゆくてたまらない。「俺たちはもっと元気だった。欲があった」と嘆く人もいるようだ。 だが、よかれあしかれ、こういう若者たちが将来の日本を担っていくのだ。未来の日本はよのよう変わるのだろうか。

106. 【1】

1. べきものだった

2. までもなかった

3. ところではなかった

4. べからざるものだった

107. 【2】

1. ところが

2. それどころか

3. あいもかわらず

4. ましてや

108. 【3】

1. 考えについては

2. 考えにおいては

3. 考えによっては

4. 考えるにおよんでは

109. 【4】

1. 出世したいものだ

2. 出世しなくてもよい

3. 出世しないではおかない

4. 出世しなくてはならない

110. 【5】

1. a 夫 / b 妻

2. a 妻 / b 夫

3. a 妻 / b 妻

4. a 夫 / b 夫

シャンプーの容器にギザギザが付いていることに気付いた人は、多いだろう。目の見えない人がシャンプーとリンスを間違えないようにある会社が付け始めたものだ。 今ではほとんどの会社のシャンプーにギザギザが付いている。普通の人も髪を洗っているときは目をつぶっているから、間違えなく便利だ。 このように障害のある人【1】どんな人も、国籍、言語、性別、年齢などにかかわらず使いやすく作られたものをユニバーサルデザインという。 社会の第一線で働く人は若くて健康な人が多い。目や耳の不自由な人、お年寄り、車いすを使う人などが困っていることを、つい【2】。 だが今は元気でも、年をとれば【3】体が不自由になってくる。来たるべき超高齢化社会に向けて、だれでも暮らしやすい社会にしようという機運が高まってきた。 UDの原則には、だれでも公平に使えること、使ううえで自由度が高いこと、使い方が簡単ですぐにわかること、必要な情報がすぐにわかること……などがある。 シャンプー容器のギザギザは小さなことだが、その柔軟を満たしている。日本語の読めない外国人のための絵による展示は、普通の人や子どもにもわかりやすい。 【4】車いすの人が働きやすいように歩土道と車道の段差をなくしたら、目を見えない人が車道にはみ出してしまったとか、利点が【5】。 UDはまだまだ工夫すべき点が多いし、元気な人はエレベーターを車いすの人にゆずるなど、人間による助け合いの心があくまで必要であろう。

111. 【1】

1. のみならず

2. なり

3. といえども

4. であれ

112. 【2】

1. 忘れっぽくなる

2. 忘れっぽなしである

3. 忘れつつある

4. 忘れがちである

113. 【3】

1. よかれあれかれ

2. 多かれ少なかれ

3. 老いも若いも

4. いてもたっても

114. 【4】

1. それだけではなく

2. それにもかして

3. その一方で

4. それに従って

115. 【5】

1. 一致することもある

2. 相反することもある

3. 反対することもある

4. 一致しかねない

日本で2008年度に始まったインドネシア人看護師、介護福祉士候補者の受け入れ事業では、大半の候補者が日本語の国家試験をパスできず、3年で帰国を【1】。だが、次に日本を目指す若者たちは悩まない。笑顔でこういうのだ。「【2】、日本に行ければ御の字です」 看護師候補者は、来日して医療機関で「看護助手」として働きながら3年以内に国家試験に合格しないと、帰国を強いられる。約270人のインドネシア人候補者のうち合格者はこれまで2人だけ。 「褥瘡」(床ずれの意)。外国の若者がこんな漢字の専門用語が交じる試験に挑んでいる。合格率が【3】。 現在、1万人以上のインドネシア人候補者が中東などで働くが、多くは個人で病院の求人に応募し、渡航費なども自前だ。 【4】看護師候補者になれば、渡航費や語学研修費は日本側負担。4か月ほどの研修中は生活雑費も支給される。医療機関では患者の身の回りの世話などを担当し、医療行為には従事できないが、先進国での就労体験は帰国後の再就職でも【5】という。 それでも「可能なら、日本で看護師になり、先端医療の知識を吸収したい」との気持ちは強い。

116. 【1】

1. 余儀なくされそうだ

2. 許可されそうだ

3. まねがれそうだ

4. 禁じられそうだ

117. 【2】

1. それなら

2. だから

3. とりあえず

4. おかげで

118. 【3】

1. 低いにこしたことはない

2. 低いのは無理もない

3. 低いことはあり得ない

4. 低いわけはない

119. 【4】

1. それにしても

2. それに及ばず

3. それと同様に

4. それに比べ

120. 【5】

1. 有利

2. 不利

3. 優越

4. 無理

人生の運・不運を分けるにはタイミングが大きく影響を及ぼすと言えよう。 たとえば野球の試合では、バットを振るタイミング、走り出すタイミングなど勝敗はタイミング【1】は語れない。オリンピックなどでは4年前では技術完成していなかった、4年たったら体力のピークが過ぎていた、というケースも【2】。自分が何歳のときにオリンピックがあるかも「タイミング」だ。 素晴らしいピアノの先生に20歳で出会っても、残念ながらその年から習ってプロのピアニストになることは、ほぼ不可能だ。 交通事故にあうのも、車が通った瞬間にそこを歩いていたという運の悪いタイミングだ。ある年は、どこの大学生も引く手あまたで【3a】。ところがその翌年は不景気で、優秀な学生ですら【3b】、そういう年周りも過去に何度もあった。 だがなんといっても大事なのは、結婚相手とめぐり会うタイミングだろう。「そろそろ結婚したいなあ」と思ったとき、運命の人がタイミングよく現れるという幸運はどのぐらいあるのだろうか。かといって「理想の相手がほかにいるにちがいない」と、いつまでも先送りしていると、独身のまま一生を【4】。 しかし、神様【5】、我々人間はいつチャンスがめぐってくるかは予測できない。せめてチャンスが来たときに逃すことのないように、普段から自分を磨いておくことだ。

121. 【1】

1. をいいことに

2. を抜きにして

3. を問わず

4. をひいて

122. 【2】

1. あるまいか

2. あるべきだ

3. あり得ないはずだ

4. あり得るだろう

123. 【3】

1. a 就職できた / b 就職できない

2. a 就職できなかった / b 就職できた

3. a 就職できた / b 就職できる

4. a 就職できなかった / b 就職できず

124. 【4】

1. 終わったことになるにちがいない

2. 終えることになりかねない

3. 終えたことのなりはずだ

4. 終わったことになりかねない

125. 【5】

1. だったとしても

2. ではあるまいし

3. であるなら

4. とあれば

我々はノーベル賞作家の作品も有名な作家の作品も、母国語ならたいていは読みこなせる。それだけではなく。「この作品は、女性の気持ちがうまく……けてている」とか、「この人の小説は文章が下手で、ただでも読む気がしない」とか、書評家みたいなことまで言う人さえいる。 だが自分で文章を書いてみると、その「ただでも読む気がしない」作家よりも、ずっとずっと【1】。そのぐらい読む力と書く力には、大きな差があるものなのです。 「こんなまずい店、二度と【2】」と思ったラーメン屋のラーメンだって、自分で作ろうとしたスープの作り方さえわからないのと同じだ。 では【3a】を少しでも【3b】に近づけるにはどうしたらいいだろうか。 本を一段落読んだら、そこに何か書いてあったか、2、3行にまとめてみよう。出てきた人物はどんな人なのか。どんな出来事が起きて、その結果はどうなったのか。その本はおもしろいかおもしろくないか【4】、客観的にあらすじをまとめてみる。それを紙に書いて、客観的な視点から読んでみよう。ちゃんと内容が理解できるだろうか。 そうやって【5】、今までぼんやりと読んでいた本を、頭で文章を作りながら読む習慣がつき、そこから他人にもわかりやすい文章を書けるようになっていくものなのだ。

126. 【1】

1. 下手な文章が書けるにちがいない

2. 下手ということはないだろう

3. 下手な文章しか書けないはずだ

4. 上手に書けるのでないだろうか

127. 【2】

1. 来ずにおかないだろう

2. 来ないでいられないだろう

3. 来るはずだろう

4. 来ることはないだろう

128. 【3】

1. a 読む力 / b 話す力

2. a 読む力 / b 書く力 

3. a 書く力 / b 読む力

4. a 話す力 / b  読む力

129. 【4】

1. はともかくとして

2. もさることながら

3. のいかんによらず

4. をよそに

130. 【5】

1. 書くことにより

2. 書くこととより

3. 書いたままより

4. 書いたものより

長男が生後数ヶ月くらいのこと。泣いてばかりいて母親が家事も何もできないので、なんとかしてほしいと頼まれた。そのとき、たまたま母親の顔写真を引っ張り出したのがあったので、それを赤ん坊のそばに置いた。そうしたら、赤ん坊は【1】。母親の顔写真に向かって何か一生懸命しかけようとしていた。 当時、私は顔についてそれほど関心を持っていた【2】。しかし、好奇心をそそられて、母親の顔のどの部分が重要なのだろうか比べてみたくなった。 まだ赤ん坊は、そんなに細かなところまで【3】。顔写真でなくていいかもしれない。そこで、顔写真をマジックインキでなぞって輪郭を描き、それに目や肩、鼻、口などを描き入れた。要するに簡単な似顔絵をつくったのである。それを横に置いておいたところ、顔写真のときと同じように、母親がそばにいなくても泣きださなかった。 それではということで、徐々に顔の部品を取り除いていった。耳を抜き、口を抜き、鼻を抜き、輪郭を抜いても問題はなかった。目の代わりに黒い丸を【4a】にしても大丈夫だった。 ところが、黒い丸を【4b】にしたところで、抜き目がなくなってしまったのである。 【5】目の黒い丸二つが、子どもにとってひじょうに重要なサインだったのである。生後数ヶ月の、まだあまり目が見えないときでも、目を指す黒い丸だけは感じ取っていたのである。 もしかしたら、この二つの黒い丸が、親と子のコミュニケーションの一つの媒体になって、赤ん坊が育っていくときの安定感とか心の安らぎとかを与えているのかもしれない。

131. 【1】

1. 泣きやんだのである

2. 泣きやまなかったのだ

3. 泣かんばかりだった

4. 泣き出したのである

132. 【2】

1. わけであった

2. わけにいかなかった

3. わけではなかった

4. わけなかった

133. 【3】

1. 見えるものはない

2. 見えているはずがない

3. 見ていたことはない

4. 見たに相違ない

134. 【4】

1. a 二つ / b  一つ

2. a 一つ / b 二つ

3. a 二つ / b 二つ

4. a 一つ / b 一つ

135. 【5】

1. しかし

2. たとえば

3. けれども

4. つまり

銀座といえば東京、いや日本で一番華やかな繁華街である。高級ブランドショップが並び、世界中からの観光客がそぞろ歩いている。そこでミツバチが飼われ、ハチミツを集めていると聞いたら不思議に思われるだろうか。 銀座を愛する人々がハチを飼うことで銀座の生態系を感じようと、「銀座ミツバチプロジェクト」を立ち上げ、2006年3月から、ビルの屋上でミツバチを飼い始めた。 【1】銀座の街でハチミツが採れるのか、蜂が人を刺さないだろうか、どのくらいのハチミツが採れるのか、最初は心配が尽きなかったが、採れたハチミツでこの街と連携する。 歴史と伝統のある銀座【2】の企画をいろいろ立てることができる。そう思って有志を募り、企画をスタートさせたそうだ。 ミツバチがハチミツを運べるのは4km四方で、その中には皇居、浜離宮、銀座の街路樹など以外と豊かな自然が残されている。3ヶ月で予想の3倍の150kgのハチミツが採れ、翌年にはミツバチも15万匹を超え、260kgものハチミツが採れた。 採れたハチミツは、カクテルやケーキや和菓子などに使われている。使ってもらう条件は一つだけ、銀座のハチミツは銀座でしか【3】ことを基本とすることだ。 ハチたちが花粉を集めると樹木が受粉し、サクラの木などが実をつけるようになった。するとそれを食べるために小鳥がやってくるようになった。命と命がつながり、回転する世界が見えてきた。「サクラ、人間が花見をするために花を【4】」と気づいて人もいる。 さらに、このプロジェクトを通じて、世代や職業の異なる人々がつながっていった「まさにミツバチが【5a】と【5b】の間も愛粉してくれた」と喜び声が上がっている。

136. 【1】

1. もしかして

2. ところで

3. はたして

4. 万が一

137. 【2】

1. をかねて

2. に足る

3. はさておき

4. ならでは

138. 【3】

1. 食べられない

2. 食べることができる

3. 食べてはいない

4. 食べかねない

139. 【4】

1. 咲くのだ

2. 咲かせるのではない

3. 咲いていたのだ

4. 咲くはめになるのだ

140. 【5】

1. a 人 / b 人

2. a 人 / b 小鳥

3. a 人 / b 自然

4. a 人 / b ミツバチ

ジャンボジェット機が墜落、乗客乗員とも全員死亡―――。こんな事故がもし起こったら、新聞社の編集局内などは混乱の【1】に陥るに違いない。ではジャンボ機が毎週1機ずつ墜落したら? 数字【2】話だが、それが国内で現実に起きている。自殺のことだ。 国内の年間自殺者数が3万人を超えたのは1998年から。ジャンボ機の定員を仮に580人程度とすれば、昨年までに毎週1機ずつ計624機が墜落した計算。 経済的理由、健康上の不安、職場環境……。自殺の原因はさまざまだろうか、その前兆として起きやすいのが、うつ病だ。うつ病の治療・研究に携わる日本精神神経学会など4学会が、発症予防対策や研究推進などを国などに求める共同宣言を出した。「うつ病は国民病」としており、【3】。 首相邸で電車通勤していると、毎日のようにどこかしらで電車が止まる。「人身事故のため」と報告されるが、その多くは飛び込み自殺だとされた。 自殺者の約4割を占めるのは40~60代男性。電車が遅れるのは困るが、この集団の中にいる人【4】人ごとではなく、責める気持ちにはなれない。むしろ、支援や治療を必要とする人に確実に手を差し伸べられる仕組み作りを【5】電車が止まらない社会の構築だ。

141. 【1】

1. 極み

2. 至り

3. 最後

4. あげく

142. 【2】

1. 上の

2. 以上の

3. 外の

4. 以外の

143. 【3】

1. 危険感は小さい

2. 危険感はないようだ

3. 危険感さえあった

4. 危険感は大きい

144. 【4】

1. といっては

2. としては

3. とみては

4. となって

145. 【5】

1. 急いでもしかたない

2. 急ぐのではないか

3. 急がなければならない

4. 急いではいけない

病院で待合室に座っている。2時間もすれば私たちは立派な病人になれる。「病院」という名の建物の扉をかけた瞬間から、私たちは病気になるのだ。 知り合いの若い医師が言った。「病院という名前をやめて“健康院”とか何とかにすれば、半分ぐらいの病気は治っちゃいますよ」 私の妻が、三日ほど腹痛と軽いめまいが続いたので、一応近くの病院に行った。さんざん待たされた挙句、やっと呼ばれて診察室に入ると、見るからに新人の若い医師が、「お腹が痛くて微熱がある【1】……脾臓が悪い可能性がありますね。一応、血液をとってみましょう」 【2】めまいがしている患者から血を抜いて、いきなり検査だという。 「あのー、先生、お言葉ですが、今年旅行ってて、あのお腹に来る風邪じゃないんでしょうか?」 「はあ、【3a】言う可能性もありますよ。風邪薬、だしておきますか?【3b】でいいんですか?」 こんなやり取りが、日本のそこそこで一日何千何万とかわされている【4】。 患者も“一応”で行くから、医者も“一応”で対応する。そして、とにかく検査と薬で処理をする。 「風邪でしょう。一日ぐっすり寝れば治りますよ。薬?いらない、いらない。何言ってるんですか、若いのに!」 などと言われて寝させられればたぶん治ってしまう。【5】逆に、あまり軽く見すぎて後で重くなったり亡くなってしまう人もいるのだから、一概にいうのは乱暴すぎるのだが。

146. 【1】

1. といっても

2. ということは

3. というには

4. とはいえ

147. 【2】

1. ただちに

2. ただでさえ

3. ただただ

4. ただでは

148. 【3】

1. a こう / b これ

2. a ああ / b あれ

3. a そう / b それ

4. a どう / b どれ

149. 【4】

1. はずがない

2. に限る

3. に違いない

4. わけがない

150. 【5】

1. もちろん

2. あいにく

3. せめて

4. おまけに

誰もが等しく持っているもののひとつが「時間」です。寝ている八時間と、働いている八時間を除いた、残りの八時間の使い方が、その人の「差」になると私は考えています。私は、残りの八時間は自分の夢の達成のために「仕事」に費やしています。 もし「ビジネスマンの口癖ベストテン」なる統計をとってみると、「忙しい」「時間がない」という言葉は、おそらくトップにランクインするのではないでしょうか。現代社会には、「暇だなんて言うと、恥ずかしい」風潮【1】あるようです。 かくいう私も、夢実現に向かってやるべきことが山積しており、毎日がとても忙しいし、いくら時間があっても足りないぐらいです。 ただ誰かに「忙しい」「時間がない」とグチをこぼすようなことはありません。そんなことをしている暇に、何らかの行動ができる【2】。「時間がない」ことを嘆く【3a】「どうにかして時間を作ろう」と工夫する【3b】ずっと重要だと思うのです。 私はとにかく、時間のムダ遣いが嫌いです。風呂に入るときも、シャワーの水がお湯になる間すら、じっと待っていられません。【4】、シャワーの栓をひねってからトイレで用を足し、服を脱いで浴室に入ります。「水のムダ遣い」としかるされそうですが、お湯になるまでの水は私がそばに【5】、どのみち使いようがなく流される運命にあるわけです。「時間のムダ遣い」のほうこそ、「もったいない」と私には思います。

151. 【1】

1. ほど

2. だけ

3. など

4. すら

152. 【2】

1. なのです

2. わけです

3. からです

4. ことです

153. 【3】

1. a より / b ほうが

2. a ほど / b ことが

3. a ほうが / b より

4. a ことが / b ほど

154. 【4】

1. だけど

2. だから

3. つまり

4. あるいは

155. 【5】

1. いればいるほど

2. いるにつけいないにつけ

3. いようがいまいが

4. いたりいなかったり

いったいいつから、「考え込むこと」や「足踏みすること」は病的で悪いこと、すぐに取りのぞかなければならないこと、と見なされるようになってしまったのだろう。 おそらくこの背景には、世界的に進む市場原理主義や競争主義がもたらす価値観の変化も関係していると【1】。すべてを市場の競争に任せて、競争に勝った者が利益を得るのは当然という考え方が広まり、停滞すること、あるいは利益にならないことは無駄や損としてとらえられてしまう。 しかし、人間として生きていて、気分が一度も落ち込まない人、勉強や仕事がうまくいかない時期がまったくない人など【2】し、もしそんな完全無欠の人がいたとしたら、その人は何の面白みも深みもない無味乾燥とした人間に違いない。 この「いつも明るく前向きでいるべき」「それが少しでも損なわれれば病気」という“完全な心の健康幻想”に先行して、「からだはいつでも100%健康であるべき」という“完全なからだの健康幻想”があったと考えられる。【3】状況はさらに進み、「いつまでも完全に若々しくいるべき」という“永遠の不老不死幻想”に人は飛びつこうとしている。病やけが、憂鬱や挫折、シワや白髪などの老いは、誰【4】できれば避けたいものでかんぺきあることは確かだ。とはいえ、それは人間の生活から完全に【5a】ものであると同時に、【5b】ものでもないはずだ。もっと言えば、苦しみや悲しみこそ人生の醍醐味なのだ、とその訪れを半ば歓迎することもあっていいはずなのだ。

156. 【1】

1. 聞かれる

2. 言われる

3. 思われる

4. 知られる

157. 【2】

1. いるわけはない

2. いるかもしれない

3. いるに違いない

4. いてもおかしくない

158. 【3】

1. そのように

2. そしていま

3. それにもかかわらず

4. そうならないまでも

159. 【4】

1. にとっても

2. にしては

3. とあっても

4. といっても

160. 【5】

1. a 取り除くことができない / b 取り除きたくない

2. a 取り除かなければならない / b 取り除けない

3. a 取り除きたくない/ / b 取り除くことができない

4. a 取り除けない / b 取り除かなければならない

先日、こんな記事を目にして、私はひどく切ない気持ちになった。台風が首都圏を襲った日、駅周辺の植え込みや駅構内の階段の手すりに、壊れて使い物にならなくなったビニール傘が大量に放置され、山のようになっていたというのだ。 ビニール傘とは、その名の通り、ビニールで作られた透明な傘である。コンビニや100円ショップに行けば、安く手に入るため、非常に身近な存在となっている。ただ、その【1】、大事に長く使うものとは考えられていないというのも事実である。その証拠に、あちらこちらで【2】ように思われる。日本の傘の年間消費量を見ると、その数は日本の人口とほぼ等しい約1億3000万本、ビニール傘はその約9割を占めている。 現在、世界では資源のリサイクルに地球規模で取り組むようになってきており、【3】だろう。環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性ワンガリ・マータイさんが、日本語の「もったいない」を、環境を守る世界共通語「MOTTAINAI」として広めることを提唱した。彼女は、来日した際、水洗トイレのレバーが「大」「小」に分かれている点に【4】を感じたという。彼女のメッセージは、私たち日本人の意識にもちょっとした変化を与えた。【5a】、レバーの使い分けなど、当たり前のことすぎて、気にもかけないでいた。【5b】、「MOTTAINAI」が世界に知られたのをきっかけに、自然に節約が意識されている日本社会を誇りに思うようになったのだ。 毎年1億本以上のビニール傘が消費されている現実に少なからずショックを受けたあなた、「もったいない」をいう言葉が死語になってしまわないように、まずは1つ「MOTTAINAI」ことをやめてみてはどうだろうか。

161. 【1】

1. 軽さゆえに

2. 手軽ささえ

3. 安さゆえに

4. 格安ささえ

162. 【2】

1. 粗末に扱われすぎている 

2. 差別的に買いすぎている

3. 長く持ちすぎている

4. 大事にされすぎている

163. 【3】

1. ゴミの分別を意識している国も多い

2. ゴミの分別を忘れている国も多い

3. ゴミの重要性を意識している国は多くない

4. ゴミの重娄怍を忘れている国は多くない

164. 【4】

1. 日木人の防水意識の低さ

2. ケニア人の防水意識の高さ

3. 日木人の節水意識の低さ

4. 日本人の節水意識の高さ

165. 【5】

1. a それまでは / b ところが     

2. a それからは / b そこで

3. a そのくせ / b しかし

4. a それはそうと / b したがって

色というものは、われわれに感動を起こさせるひとつの大きな要素です。外国で十年ほど生活していた間に、私は人々の衣服というものを見て、いろいろと感ずるところがありました。 たとえば、洋服と和服の違い。いちばん大きなものは、洋服がカット、つまり裁断によって、良くも悪くも作られている【1】、和服は伝統的に型が決まっていて、カットの腕をふるう余地がほとんどないということです。型のみならず寸法まで和服ならだいたい決まっていて、男ものも女ものも身体の大小があっても相当に融通がききます。 【2】、洋服と和服とどういう違いが目立ってくるか。 洋服ではデザイナーたちはカットに努力を集中して、どんな線を出すかに苦心する。 和服ではその努力の余地があまりありませんから、色と柄に大きな関心が向く。つまり、洋服は【3a】が、和服は【3b】が見せどころ、ということになります。 【4】街角やあるいは博物館などで、和服というものを気をつけて観察してみると、これは実にすごい。すばらしい色の芸術です。はるか昔から、日本人はおどろくべき色の伝統を育て、【5】原色だけで満足しない微妙な色の世界が、この国の文化には今もあるのです。

166. 【1】

1. のに対して

2. のに従って

3. のに応じて

4. のに加えて

167. 【2】

1. となると

2. そういえば

3. というのは

4. それにしては

168. 【3】

1. a カット /  b 色

2. a 色 /  b カット

3. a 線 /  b カット

4. a カット /  b 線

169. 【4】

1. そう気がつかずに

2. そう気がつけば

3. そう気がついて

4. そう気がついたものの

170. 【5】

1. 伝えさせられてきた

2. 伝えてきた

3. 伝えはじめている

4. 伝えてみようとしている

好きなこととして、「善行」をしたい人たちがいる。この人たちの一番困ることは、何しろ良いことをしていると思っているため、近所迷惑についての自覚が薄いことである。 一例をあげてみると、老人ホームにやってくるボランティアの人が居る。やってくると、老人にやたらに親切にする。老人の方もやはり誰かに【1】、何やかや要求する。それに応じていると、老人も嬉しくなって、平素は出来ないことまでする。これは確かに素晴らしいことである。【2】、このような行為を、この人は無償でやっているのだから、ますますそれは「善行」と言うべきである。 しかし、こんな人が時たま来てくれると、施設の人たちが後で【3】、甘えることの味を覚えた老人は、次の日になると、今まで自分でしていたことまでしなくなって、他人に頼ろうとする。施設にいる人たちは、それにいちいち応じて居られないし、やはり老人と言っても出来る限り自立的に【4】。 時に、この老人が、ボランティアの誰それさんは【5】、ここの施設の人は冷たい人ばかりだ、などと言いだすかもしれない。こうなると施設の人は面白くない。

171. 【1】

1. 甘えてみたいものだから

2. 甘えてみたければ

3. 甘えてみたから

4. 甘えてみたとしたら

172. 【2】

1. したがって

2. しかも

3. ところで

4. なぜなら

173. 【3】

1. 苦労させるはずだ

2. 苦労してもいい

3. 苦労することになる

4. 苦労するだろうか

174. 【4】

1. 生きて欲しいものだ

2. 生きてしまっている

3. 生きてみたらいい

4. 生きているだろう

175. 【5】

1. 優しければ

2. 冷たいし

3. 優しいとしたら

4. 優しい人だけど

人と話をする時に、一番気にしなければならないのは、「場の空気」である。 たとえば、初対面の人が数人で会合を開いたとする。自己紹介も終わり相手のことも多少わかってきて、場がかなりほぐれてきたのに、相変わらず「【1】」のような感じで態度や口調も硬い人、これなど場の空気が読めない人の典型である。 「部長様は、どちらにお住まいなのですか」 と、いつまでたっても型通りの話ばかり。これでは、相手との距離を縮めることなどとうていできない。【2】、話題がなかなか広がらないので場が盛り上がらず、【3】誰もが無口になってしまう。 反対に、かなり盛り上がっていろいろな人が活発にしゃべり出した時に、相手の話を聞かずにひとりでしゃべりまくっているような人【4】空気を読めない人と言える。 話のつまらない人というのは、「場の空気を感じる感性が【5a】人」と言い換えてもいい。感性の【5b】人なら、場の空気がちょっと白けたと感じたら、自分が三枚目になって場がなごむことを言ってみるだろうし、反対に空気が過熱している時には多少控えめになりゆきを見守るはずだ。

176. 【1】

1.

2.

3.

4.

177. 【2】

1. それどころか

2. それにもかかわらず

3. それにつれて

4. それとも

178. 【3】

1. わざわざ

2. あえて

3. しまいには

4. せいぜい

179. 【4】

1.

2.

3.

4.

180. 【5】

1. a 鈍い / b 鈍い

2. a 鈍い / b 鋭い

3. a 鋭い / b 鈍い

4. a 鋭い / b 鋭い

かつては、とにかく勤勉であることが尊ばれた。とりわけ「ホワイトカラー」と呼ばれる事務職の人々【1】は、仕事を正確に速くこなすことが【2】。時代は変わり、きまりきった仕事はコンピューターが代わりにやってくれる。人間の脳にできて、コンピューターにはできないこと、すなわち、新しいことを発想する創造性が重要視されるようになった。 創造性を育む上で、「何もしなくても良い」という空白は【3】。歴史上、空白の時間に大発見がなされた例は枚挙にいとまがない。ニュートンがりんごが落ちるのを見て万有引力の法則を構想したのは、当時学んでいたケンブリッジ大学の休暇中だった。ダーウィンが進化論のアイデアを思いついたのは、大学卒業後、「ビーグル号」に乗っての5年間の航海中、ガラパゴス諸島を訪れた時のことだった。 もし、ニュートンやダーウィンがずっと【4】、歴史的な発見もなかったかもしれない。創造性を発揮するためには、脳にある程度の空白を与えることが必要である。日本人は創造性が足りないと言い古された感がある。私たちに不足しているのは、のんびりと過ごす時間なのかもしれない。 脳の中の神経細胞は、外からの刺激がなくても、自ら活動しようとする。ぼーっとしている脳は、決して怠けている【5】。

181. 【1】

1. について

2. に対して

3. として

4. にとって

182. 【2】

1. 何にもまして大切だった

2. 今も大切である

3. 何にもまして困難だった

4. 今も困難である

183. 【3】

1. 無用なものである

2. 必要不可欠である

3. あったはならないものである

4. 耐えられないものである

184. 【4】

1. 休むことなく働いていたら

2. 働かずにいたら

3. 努力することなく過ごしていたら

4. 休んでばかりいたら

185. 【5】

1. のかもしれない

2. に決まっている

3. ものでもない

4. わけではない

街角や家の中で、話す機械が増殖している。注意を喚起したり、お礼を言ったり、情報を伝えたりと、話す言葉は様々。騒がしいと感じる人がいる【1】、おしゃべりな機械は、確実に暮らしの中に溶け込んできた。 満員のエレベーターに乗ると「ただ今混雑しています」。エスカレーターでは「小さなお子様にご注意ください」。【2】、公共空間でさえ様々な機械が話しかけてくる。 日々、しゃべる機械が進化するニッポン。【3】多くの人が駅や百貨店などの機械音や放送が気にならないのかを考えてきたN氏によると、「日本人は障害の向こうの声が聞こえないふりをしたり、音声放送を聞き流したりするのに慣れている。」「あいさつなど言葉の定型化を大事にする日本文化が背景にある。」ということだ。 機械の発声をうるさいと感じる人もいるだろう。しゃべる自動販売機も導入した時は気持ち悪いと【4】、いったん撤退した。【5】、ATMや駅の券売機など使い方を指示してくれる機械が増えたため慣れてきたのか、広く受け入れられるようになったという。 「うるさい」と「便利」の境目は何か。その場にそぐわない発言を聞くと、人はいらいらしたり、違和感を覚えたりする。しゃべる機械が普及したのは、音量などを調整できるほか、適切なタイミングで必要な情報を発声できるようになったからではないか。

186. 【1】

1. ところで

2. 上に

3. 以上

4. 一方で

187. 【2】

1. 望んでいるにもかかわらず

2. 望む望まないにかかわらず

3. 望まないかぎり

4. 望んでいるかぎり

188. 【3】

1. どのように

2. どこで

3. なぜ

4. いつ

189. 【4】

1. 受け入れられずに

2. 受け入れられて

3. 受け入れずに

4. 受け入れなくて

190. 【5】

1. すると

2. そこで

3. ただし

4. だが

年相応というのは名文句だ。誰が見ても不自然でない、その人の年齢にふさわしい、振る舞いや考えのことである。 人間は年相応の振る舞いや考えが望ましいのはいうまでもない。しかし、現実には年相応の振る舞いは、必ず【1】から傑作なのである。 年相応の振る舞いが、その年齢に達する前に見られることはほとんどない。四十五歳の年相応の振る舞いや考えが、三十五歳の時に見られることはない。いつでも四十歳を過ぎて何年かしてから、「しまった。もっと年相応に振る舞うべきだった。」と、【2】。 【3】年相応に振る舞うのが遅れてしまうのだろうか。人間は日々年々、自分は何歳であると自覚して年をとっていく【4】。ほとんどの人が、己を実際の年より若く考える。「年はとりたくないものだ」という潜在意識があるからだ。「まだ、そんな年ではない」と思っているからだ。 人間は皆、遅れに遅れて自らの年を自覚する。その結果、年相応の振る舞いが遅れてしまうのである。若いときからあまり老成するのはよくない。むしろ自分自身の手足を縛ってしまう。しかし、年をとり年齢にふさわしい行動や考えができないと、【5a】、【5b】を晒すことになる。

191. 【1】

1. 人それぞれ異なる

2. 同時期に来る

3. 早くなってしまう

4. 遅れてしまう

192. 【2】

1. 後悔したのである

2. 後悔するべきである

3. 後悔するのである

4. 後悔するつもりである

193. 【3】

1. けれども

2. また

3. なぜ

4. さらに

194. 【4】

1. わけである

2. わけではない

3. わけないことだ

4. わけがある

195. 【5】

1. a 美しい姿 /  b 美しい態度

2. a 美しい姿 /  b 醜い態度

3. a 醜い姿 /  b 醜い態度

4. a 醜い姿 /  b 美しい態度

いまはコミュニケーション能力が過度に求められる時代である。職場でも学校でも、あるいはもっとプライベートな空間でもいい。あらゆる人間関係において、自分の価値を認めてもらうためには高度なコミュニケーション能力が必要とされる。書店に行けばコミュニケーション能力を高めるための自己啓発本があり余るほど出ているし、わざわざそのための学校に【1】。 確かに、いまの産業のあり方を見ると、コミュニケーションが富を生み出す経済活動の中心に来ていることがわかる。製造業は人件費の安い海外に工場をどんどん移転させ、国内に残っているのは、マネジメントや企画、研究開発、マーケティングといった本社機能的な仕事ばかり。そこでは、組織をまとめあげる、アイディアをだす、交渉する、プレゼンをする、ディスカッションをするといった、高いコミュニケーション能力が必要とされる活動がどうしても物を言う。社会のあり方が、工場中心からコミュニケーション中心へと大きく転換しているのである。 しかし、コミュニケーション能力が、人々の価値を決める独占的な尺度になることは、【2】。事実、コミュニケーションべたで自己アピールにそれほど長けていなくても、能力のある人はいっぱいいる。私も大学でゼミを指導していると、ゼミの議論では目立っていてもレポートの出来はそれほどでもない学生や、逆にゼミではおとなしくても素晴らしいレポートを書いてくる学生に頻繁にであう。コミュニケーションの巧みさと本人の能力は必ずしも一致しない。 もちろんコミュニケーション能力も人間の能力の一つではある。だから、それが評価基準の一つになることは当然あっていい。【3】、コミュニケーション能力をめぐる過当な競争は、人間関係にひずみをもたらすだろう。 引きこもりは、社会のなかで要求されるコミュニケーション能力があまりに高いため、一度他人とのコミュニケーションにつまずくと、なかなか新たなコミュニケーションに踏み出せなくなってしまうことから生まれる。引きこもりまでいかなくても、周りとのコミュニケーションのなかで自分がまともに相手にされなければ、誰だって心を閉ざしてしまい、内にこもりがちになるだろう。コミュニケーション能力をめぐる競争が激しい社会は、【4】人にとってとても冷淡だ。 また、いじめは子供たちのコミュニケーション能力の欠如から起きているのではなく、逆に、みんなが空気を読すぎることによるストレスのハケ口を特定の人間に向けることで起きている。こうしたストレスや重圧は、子供に限った問題ではない。空気を壊してはいけないという圧力は、人々とコミュニケーション能力をさらに要求するだろう。しかしそれが進むと、社会のなかで同調圧力が強まり、社会そのものが萎縮【5】。

196. 【1】

1. 通う人もいるほどだ

2. 通うまでもなかろう

3. 通うべきである

4. 通人がいるのだろうか

197. 【2】

1. 極めて当然のことではないか

2. 極めて可能性が低いのではないか

3. はたして健全なのだろか

4. はたして起こり得ないのだろうか

198. 【3】

1. したがって

2. すなわち

3. それどころか

4. とはいえ

199. 【4】

1. こうしてつまずかせる

2. そこから踏み出させる

3. それにつまずいてしまった

4. ここから踏み出してしまった

200. 【5】

1. してしまうのだろうか

2. してしまうだけである

3. してしまうものでもない

4. してしまうとも言えまい