恐れてはいけないとか、不安を持ってはいけないとか言われることがあるかもしれない。しかし、恐怖や不安は、車にたとえればブレーキである。車の安全にとって重要なのはアクセルではなく、ブレーキなのだ。アクセルをふかして(注1)スピードを出すことより、危険を察知して(注2)ブレーキをかけて止まったり、スピードを落としたりすることで事故は防げる。その意味で、ブレーキのない車を走らせることはできないのだ。われわれ人間も恐怖や不安という名のブレーキを使って、自分たちの安全に役立てることが大切だ。 (広瀬弘忠『人はなぜ危険に近づくのか』による)(注1)アクセルをふかす:アクセルを強く踏んでエンジンを速く回転させる。(注2)〜を察曏する:~に気がつく

1. 筆者は、恐怖や不安をどうとらえているか。

1. 恐怖や不安は、安全性の向上を妨げる。

2. 恐怖や不安を感じることが、安全につながる。

3. 恐怖や不安を取り除くことが、安全に役立つ。

4. 恐怖や不安があるうちは、安全とは言えない。

品物の価値とは何だろう。品物の価値は品物の値段で適切に表されるのだろうか。我々は毎日大量の紙を消費しているが、これは木が大量に使われているということである。自然が有限だとわかっている現代では、木を切った後には植林が行われている。しかし、その木が成長するには何年もの月日が必要である。森林が失われた後、木が成長するまでの周辺の環境変化は、人間にも自然にも大きな影響を与える。しかし、この時間と環境の変化という見えない価値は品物の値段には含まれていない。

2. 筆者の考えに合うものはどれか。

1. 品物の価値は、品物の価値を表す。

2. 品物の値段には、見えない価値が入っている。

3. 品物の価値には、見えない価値が入っている。

4. 品物の価値には、見えない価値は入っていない。

人はいったん相手に「こういう人だ」と思われてしまうと、なかなかその印象を修正するのは難しいという。なぜかというと、人間の脳は自分の考えの正しさを補強するような情報を無意識に集めるからである。自分の考えの補強につながらないような情報は、意識化せずに無視するのだ。たとえば、親が自分の子を「よく忘れ物をして困った子どもだ」と思っていると、ある日たまたま忘れ物をしても、「ああ、やっぱり」と、より強く思い、忘れ物をしない日が忘れ物をする日よりはるかに多くても、そのことは無視するのだ。

3. この文章の内容に合うものはどれか。

1. ある脳の働きによって、人が最初に受けた印象は容易には変わらない。

2. その人がどんな人か、最初の印象で判断するのはよくないので、改めるべきだ。

3. 親は自分の子を「こういう子どもだ」と決めつけて判断すべきではない。

4. 人間の脳は情報を処理する能力に欠け、判断を誤りがちなので、注意が必要だ。

販売店各位2010年6月28日 西東薬品株式会社 販売部長南五郎 アンケート実施についてのお願い拝啓いつもお世話になっております。昨日夏に販売を開始いたしました商品「エネルギーZ」は、おかげさまで順調に売り上げを伸ばしてまいりました。来月、本製品販売1周年を迎えるにあたり、製品の使用効果、値段などについてお客様のご感想やご希望をうかがいたくアンケートを実施することにいたしました。つきましては本製品をお買い上げのお客様へのアンケート用紙の配布およびご協カの呼びかけをお願いいたします。販売店のみなさまにはご面倒をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。 敬具

4. ご協力とあるが、だれが何に協力するのか。

1. 販売店が、この製品の売り上げをさらに伸ばすことに協力する

2. 販売店が、お客様にアンケート用紙を渡すことに協力する。

3. この製品を買った人が、それを他の人にすすめることに協力する。

4. この製品を買った人が、アンケートに答えることに協力する。

国際宇宙ステーションは、地球から約400km離れたところを回る巨大な有人実験施設である。宇宙では、地球から運ばれ水はコップ1杯30〜40万円に相当するほど高価なものとなるが、2008年に、ステーションで使用した水をリサイクルする装置が設置された。再生された水は飲料水や実験のほか、酸素を作り出すのにも使われる。いずれ装置が完全に機能すれば、地球から新たに水を運ぶことも不要になる。

5. 再生装置が完全に機能すると、国際宇宙ステーションで使われる水はどうなると述べているか。

1. 実験や酸素を作るときには地球から運ばれた水が使用される。

2. 使用後の水はリサイクルされ、再生装置からすべて供給される。

3. 飲料水は地球からの水を使用し、ほかは再生装置から供給される。

4. 地球から運ばれる水と再生装置で作られた水の両方が使用される。

新型インフルエンザが流行しておりますので、南市保健センターでは発熱外来を開役致しました。38度以上の熱に加え,咳・吐き気・身体倦怠・下痢・腹痛、胸痛のいずれかの症状がある方は一船病院へは行かず、まず当センターにお電話の上、こちらにお出でください。その際健康保険証を忘れずにお待ちください。センターでは新型インフルエンザ感染の検査をした上で医師の診察が受けられます。

6. 高熱でお腹が痛い人はどうするか。

1. 保険証を持って一船病院へ行く

2. 保険証を持ってすぐに保健センターへ行く

3. 電話の後保険証を持って保険センターへ行く

4. 電話をかけてから一船病院へ行く

「日本全国どこも似る=たような町になってしまった」と言う人がいる。地方へ行っても、都会と同じような姿の駅、都会にもあるような名前のスーパーやコンビニ、ホテルばかりで、つまらないと言うのだ。しかし、こういうことを言う人は建物しか見ていないのかもしれない。実際は、そこに住む人々の生活の中に入り込んでみると、異なる点がたくさん見えてくる。その上地にずっと住んでいる人と一緒に食事でもしながら話してみるといい。「戦前、この村はこんな産業が盛んで、その影響がこんなふうに残っている」「この村の祭りには、伝統的にこんな役割がる」といったような話がいろいろ開けるだろう。

7. 筆者は、現代の日本について、どのような意見を述べているか。

1. 現代の日本芋、伝統的な産業や祭りが必要だ。

2. 現代の日本にも、地方によって異なる文化がある。

3. 現代の日本では、地方による変化の差が失われてしまった。

4. 現代の日本には、平均化された町と独自の文化を守る町が共存している。

人間の心理にはハロー(後光)効果といって、最初に受けた印象を強めていく傾向があります。例えばお会いした時に清潔な印象をうけると、その人の部屋が本当は汚かったとしても「部屋はいつもきれいに片づいているに違いない。人間関係もきっとさわやかでしょう」などと、こちらが勝手にその人のよいイメージを重ねていきます。反対にだらしない印象を受けると、部屋の中をピカピカにしていても「家の中も汚いだろう」と悪い印象を重ねてしまうようです。(岩下宣子「実践マナー塾」2009年4月18日付日本経済新聞による)

8. 筆者はハロー効果をどのように説明しているか。

1. 新しいイメージを次々に重ねてことで、最初の印象は次第に変化していく。

2. 初対面のときに受けた印象は、その後に持つイメージに影響を与えていく。

3. だれとでもよい関係を築いておけば、初対面の人にもよいイメージを与えられる。

4. 最初に悪い印象を与えてしまっても、その後の付き合いでイメージは変えられる。

私たちは、最初に見たときの印象にしばられ、物事の一部をとらえて、そのすべてを知ったように思いがちだ。しかし、遠くから見れば、美しい富士山も、近づくにつれて岩だらけの荒々しい姿に変わる。一つの風景も、見方によって違ってくる。だから、物を見るときは、ちょっとだけ立ちとまって見方を変えてみてはどうだろうか。一歩近づいて見てみる。時間をかけて、何を中心に見るかいろいろ試してみる。1そうすれば、きっと今までに見られなかった風景が見えてくるだろう。

9. 1「そうすれば」とあるが、どうすることか。

1. 物事の良い面だけでなく悪い面も探すようにすること

2. 物を見るときはなるべく近づいてみるようにすること

3. 物を見るときは動かずに止まってみるようにすること

4. 物を見るときはさまざまな視点で見るようにすること

子どもの脳の発達には何が良い効果を生むのだろうか。お母さんがたくさん声をかけること、話しかけることが赤ちゃんの脳の発達に良い影響を与えるという研究結果も出ている。しかし、仕事を持つ女性が結婚して出産すると、どうしてもすぐに職場に戻らなければならないことが多く、職場もそれを求める。なるべく多くの時間を赤ちゃんと過ごすほうがいいとわかっていても、それがなかなかできないのが現状だ。医学的な面はさておき、社会的には、子どもが生みやすく育てやすい環境を整えること、それが赤ちゃんの脳を発達させることにつながると、私は考える。

10. 筆者がこの文章で一番言いたいことはどんなことか。

1. 子どものいる女性が働きやすい社会にするための環境を整えるべきだ。

2. 働く女性が出産後に赤ちゃんと十分な時間を過ごせるような環境を整えるべき。

3. 赤ちゃんの脳を発達させるために、母親は赤ちゃんにたくさん話しかけるべきだ。

4. 働く女性が結婚後すぐに職場に戻れるような環境を整えるべきだ、

ぼくはいつも思うのだが、視覚にとらえたものをただ単に描いても、決して絵画にはならない。視覚のかなた(注1)にかくされているものをとらえて、それを画面に定着させたとき、はじめて絵画が誕生する。絵画とは目の前の自然を心のなかに消化し、それをもう一度吐きだす作業によって生まれるのだ。そうすることによってはじめて普遍的(注2)の世界が出現するのだと思う。だから芸術というものは、理屈(注3)では解決できないものなのだ。理屈を超えたところに本当の美がある。 (石本正『絵をかくよろこび』による)(注1)かなた:向こう(注2)普遍的な:広くすべてのものに共通して見られる(注3)理屈:論理的な説明

11. 筆者が考える絵画とはどのようなものか。

1. 目で見たものを想像力で補い美しく描き表したもの

2. 目で見たものを心のなかに感じ取って描き表したもの

3. 目の前に存在しないものを想像しながら描き表したもの

4. 目の前にあるものをできるだけ現実に近づけて描き表したもの

高校生に対するある意識調査によると、「自分は勉強熱心だ」と思っている高校生が、この30年間で1.5倍以上に増えているという。ただ、この結果を見て、「最近の若者はまじめになった」と評価できるだろうか。私は、現代の高校生が、その親の世代が高校生の時よりもまじめになったという見方には賛成できない。むしろ、実際には熱心とは言えないような勉強の仕方でも、「自分熱心だ」と言ってしまう者が増えたのではないだろうか。意識が変わり、自分に対する要求水準を、昔より下げてしまっている結果とは言えないか。

12. 筆者は、高校生に対するある意識調査について、どのような考えを述べているか。

1. この調査の方法には疑問が感じられ、その結果を信じることはできない。

2. この調査は高い評価を受けているが、それには納得できない。

3. この調査結果が、現代の高校生の実態を表しているとは思わない。

4. この調査結果から、現代の高校生が昔よりまじめでおとなしくなっていることがわかる。

夫がいたころは、枝豆大好きだった夫から、「店に出ているかぎり毎晩でもいいから」と言われて、夕食にゆでたてを出していた。晩酌注1がまずくなるからと、昼食も控る(注2)ときもあったくらいで、ましておやつに枝豆など考えられなかったであろう。その習慣で私も枝豆は夕食のものと思い込んでいた。独りになってからの私は、一人でお酒は飲まないので、いつの間にかおやつに枝豆を食べ始めた。冷やした枝豆の味も覚えたのだが、同じ枝豆でも、お酒と一緒のときと、ひたすらお豆を楽しんで食べるときの味は別のように思う。環境が変わると、ものの食べ方まで変わるものなのだと気がついた。今夜は、チリメンジャコを少し入れ、しょうゆ味の枝豆ご飯を炊くことにしょう。 (吉沢久子「新潟の枝豆」2010年8月19日付新潟日報による)(注1)晩酌:家で夕食を食べるときにお酒を飲むこと(注2)控える:制限する

13. 「おやつに枝豆など考えられなかったであろう」とあるが、なぜか。

1. 夕食で食べる分の枝豆がなくなってしまうから

2. 枝豆をおやつで食べるのは普通ではないから

3. ひとりだけで枝豆を食べるのはさみしいから

4. 枝豆は夕食で食べるべきものと思っていたから

大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど、タンパク質なとの栄養が豊富で、長く日本人の健康を支えてきた。みそやしょうゆ、納豆などの伝統的な大豆加工食品は、今なお日本の食卓に欠かせない。その一方で、大豆の自給率(注)は下がり続け、10%にも満たなくなっている。少々心配な状況ではあるが、そうした中でも、新たな大豆加工食品が次々に出現している。大豆から作った飲み物である豆乳は1980年代から販売されているが、ここ数年の改良でぐっと飲みやすい味になり、生産量が増加している。また、大豆を使ったスナック菓子や大豆たんぱくを使ったビールのようなお酒も人気だ。(注)大豆の自給率:国内消費される大豆が、どのくらい国内で生産されているかを示す割合

14. この文章の内容に合うものはどれか。

1. しょうゆなどの伝統的な食品の原料である大豆は、自給率を上げる必要がある。

2. 豆乳は1980年代に発売され、当時から飲みやすく、人気があった。

3. 大豆は昔から日本人の食生活に欠かせないものだが、新しい大豆加工食品も生まれている。

4. 大豆の自給率を上げるために、大豆を使った新製品が発売されるようになった。

かつて、利学者とは、だれも考えつかなかったものを発見したり発明したりする人のことでした。だれも持っていない道具を自分で作り、それを使って研究を進め、新しい真実を発見する人、つまり、めったにいない天才でした。ところが、科学の進歩にともない、一定の技術を持ったさらに多くの科学者が必要になりました。そこで、科学者を短期間で育てるための制度ができ、多くの科学者が生まれ、必要とされる職場に送られるようになりました。科学者は一般的な職業になったのです。

15. この文章の内容に合うものはどれか。

1. 科学者という職業は、天才がなるものである。

2. 科学者を多く育てることが、科学の進歩につながる

3. 昔の科学者は天才だったが、今はそうとは限らない。

4. 科学者に対する評価は、徐々に下がってきている。

江戸時代、江戸の町では大衆小説に人気が集まり、貸本屋が繁盛していたという。ということは、江戸の市民は字が読めたということになる。実際、このころの江戸の人々の識字率は何と80%だったとか。これは世界的に見ても驚異的な数字だ。こうした基礎があったからこそ、明治以降、急激な近代化が可能となったのだろう。

16. 「こうした基礎」とはどういう意味か。

1. 江戸時代の日本は近代化していなかった。

2. 江戸時代は日本に世界の情報が入ってきていた。

3. 江戸の人々は知的レベルが高かった。

4. 江戸の人々は外国文化に関心があった。

工場というと、煙や騒音などが思い浮かぶが、最近では「美しい」というイメージもそれに加わるようだ。夜、暗くなってから工場地帯に行くと、工場の明かりや煙突などから出る光が美しく見えてロマンチックだというのだ。工場地帯を抱えるある市が、これに気付いてテツアーを企画したところ、予想以上の申し込みがあったという。これをきっかけに、民間のツアー会社も参入するようになった。さらには、自慢の「工場夜景」を持つ数都市が集まり、「全国工場夜景サミット」なるものも開催されている。視点を変えて新しい価値を発見した一例である。

17. この文章の内容に合うものはどれか。

1. 工場から出る煙や騒音に「美しさ」を感じる人もいる。

2. 工場経営者たちは、夜の工場がロマンチックだということに気が付いた。

3. ツアー会社の企画のおかげで、工場夜景の美しさに気付く人が増えた。

4. 「工場の夜景」が持つ独特の魅力が、注目されるようになった。

以下は、ある会社が出したメールの内容である。 お客様各位 いつも「ジミック」のプリンターをご愛用いただき、ありがとうございます。 さて、弊社では、お客様がプリンター用インクを追加購入(注)なさる際に、定価の5%引きでお求めいただいておりますが、この7、8月中に購入のお申し込みをされたお客様には、さらにお得な特別割引価格でお届けいたします。この機会にご利用いただければ幸いです。詳しくはホームページをご覧ください。 http://www.jimmickip.com 今後とも「ジミック」の製品をご愛用くださいますようお願い申し上げます。 (注)購入する:買う

18. この会社の割引サービスについて正しいものはどれか。

1. 「ジミック」のプリンターを使っている人は、7、8月中だけインクを5%引きで買うことができる。

2. 「ジミック」のプリンターを使っている人が7、8月中にインクを注文すれば、5%引きより安く買うことができる。

3. 「ジミック」のプリンターを7、8月中に買う人は、インクを5%引きより安く買うことができる。

4. 「ジミック」のプリンターを7、 8月中に買う人がインクを一緒に注文すれば、どちらも5%引きで買うことができる。

コンサートやライブの楽しみは、生の音楽に触れられることはもちろんだが、それだけではないだろう。好きなミュージシャンと同じ時と場所を共有できること、それも大きな魅力ではないだろうか。CDによっていつでも好きなときに音楽を聞くことはできるし、最近ではインターネットを通じて、手軽に音楽を楽しむこともできる。それでも、お金を払ってコンサートに足を運ぶ人は尽きない。それは、やはり、ミュージシャンが音楽を演奏するその瞬間を、その場所で同時に味わいたいからだろう。さらに、同じ音楽を愛する人々と、同じ空気と同じ感動を共有する喜びもあるだろう。

19. この文章の内容に合うものはどれか。

1. コンサートの客は、いい音楽とおいしい食事を同時に楽しみたいと思っている。

2. コンサートに行く人は、その場にいる人と感動を共にすることを楽しんでいる。

3. 最近は好きな音楽が簡単に聞けるので、わざわざコンサートに行く人は少なくなった。

4. コンサートは、愛する人と一緒に行くと、より大きな喜びを感じることができるだろう。

「科学」というと、「難しい」とか「わかりにくい」と考えてしまうことが多い。では、科学の研究はなぜ大変なのか。それは、一見すると知ろうとするポイントから離れているようだが実は関係のある事柄、これを緒に理解しなければならないからだ。一つのことがわかると、それに関連した「新しい問題点」が見つかる。調べれば調べるほど、調べなければならないことが出てくる。長いトンネルの中を進むようなものだ。けれども、どんなに長いトンネルにも出口のないトンネルはない。トンネルを抜けたとき、世界は急に明るくなり、見えなかったものが見えてくる。科学が「難しいもの」から「おもしろいもの」に変わっていくのは、そこからである。

20. トンネルを抜けたときとは、どんなときを表しているか。

1. 一つのことがわかってから、また、新しい問題点が見つかたとき

2. 調べることを続けていくうちに、わからなかったことがわかったとき

3. 調べれば調べるほど調べなければならないことが出てくるとき

4. それまで難しいものだった科学がおもしろいものに変わったとき

「日本全国どこも似たような町になってしまった」と言う人がいる。地方へ行っても、都会と同じような姿の駅、都会にもあるような名前のスーパーやコンビニ、ホテルばかりで、つまらないと言うのだ。しかし、こういうことを言う人は建物しか見ていないのかもしれない。実際は、そこに住む人々の生活の中に入り込んでみると、異なる点がたくさん見えてくる。その土地にずっと住んでいる人と一緒に食事でもしながら話してみるといい。「戦前、この村はこんな産業が盛んで、その影響がこんなふうに残っている」「この村の祭りには、伝統的にこんな役割がある」といったような話がいろいろ聞けるだろう。

21. 筆者は、現代の日本について、どのような意見を述べているか。

1. 現代の日本にも、伝統的な産業や祭りが必要だ。

2. 現代の日本にも、地¹ã«ã‚ˆã£ã¦ç•°ãªã‚‹æ–‡åŒ–がある。

3. 現代の日本では、地方による文化の差が失われてしまった。

4. 現代の日本には、平均化された町と独自の文化を守る町が共存している。

子供のころ、うちでクリスマスのパーティーをしたことがある。クリスマスの2週間ぐらい前から、母といっしょに部屋を飾りつけ、その日のごちそうは何にするか考え、当時としては珍しいアイスクリームでできたデコレーションケーキを注文することになり、友達はだれとだれを呼ぶか考え……。早くクリスマスにならないかなあと、その日が来るのが待ち遠しくてならなかった。パーティーのことを想像しただけで、うれしくてうれしくて、今でもそのときのわくわくした気持ちが忘れられない。ところが、当日のことは、不思議にほとんど覚えていないのだ。「何かを待つって、その楽しさの半分にあたるわ」というのは「赤毛のアソ」の言葉であるが、そのほとんどにあたるわ、と言ってもいいほどだ。

22. この文章で、筆者が言いたいことは何か。

1. 子供のころの楽しい記憶はいつまでも残っているものだ。

2. 子供に、クリスマスのパーティーをしてあげると思い出になる。

3. 楽しみに何かを待つ気持ちは、その何かよりもっと楽しい。

4. クリスマスのパーティーは期待したほど楽しくはなかった。

西市図事館利用案内一抜粋1.貸し出しは事前にカードを作成すること。カードを作成できるのは当市及び東市、北市に住所がある方、あるいは当市に道学、勤務する方。2.貸出点数は書籍、CDそれぞれ10点以内。貸出期間は2週間とする。し、貸出期間内で、次に貸出を待っている人がいない場合は、長することができる。3.勉強室は10時から夜8時まで開旅する。但し、荷物を置いたまま長時間の離席は認められない。4.図書館の開館時間内は返却ポストの利用はできない。5.図書館内での飲食は禁止。(注)抜粋:書物などから取り出した部分

23. 次の行為で認められているのはどれか。

1. 東市の図書カードで借りること。

2. 今日、本を8冊、明日2冊借りること。

3. 本を15冊、CDを5枚借りること。

4. 16日目に本の延長かり出しをすること。

「話」は必ずしも「メッセージ」にはなりません。話すことは声を出して言葉を言うことだと私たちは考えがちです。しかし、言葉を言えばそれで話が通じるわけではありません。話し手が伝えたいと思う言葉は、相手に届かなければ意味がないのです。また、相手に言葉が届いたからといって、それで目的が達せられたことにもなりません。相手がきちんと聞き取り、そして内容を理解してこそ「話」が「メッセージ」に変わるのです。つまり、通じたかどうかは、聞き手によって決まるということです。

24. 「話」が「メッセジー」に変わるとはどんなときか。

1. 話し手が声に出した言葉が相手に届いたとき

2. 話し手が伝えようとした話を聞き手が理解したとき

3. 話し手が話したことを相手が聞き取ったとき

4. 話し手の話の内容を聞き手が決めたとき

「日本に魅力があるうちに開国を」と訴えるのは早稲田大のカワン・スタント教授。米国やシンガポールなどのように、優秀なアジア人に門戸を開けば、少子化で停滞する(注1)日本は再び活性化すると主張する。インドネシアの華人で1974年に来日。東京工業大、東は北大で博士号を取得したが、日本で研究職に就けず米国へ。93年に日本に戻り、新設大学の教授になったが、やる気のない学生であふれていた。「人間ほど大事な資源はない。日本にはほかに資源がないのに」。以後、日本の教育に警鐘を鳴らし(注2)続け、昨年8月に2冊目の著書「感動教育」を出版した。「日本の学生は非常に内向き。留学生をもっと受け入れれば違う国の人の意見はこんなにおもしろいのかと気付くはずだ」。(2011年1月24付新潟日報による)(注1)停滞する:物事が先に進まなくなる(注2)警鐘を鳴らす:注意して警告する

25. スタント教授の主張にあうものはどれか。

1. 日本に留学や就職をする外国人を増やす努力をすべきだ

2. 優秀なアジア人の留学生は新設大学に入学させるべきだ

3. 日本の学生は内向きにならず、もっと海外留学すべきだ

4. 経済を活性化するためにはアジア諸国と貿易するべきだ

私たちは、最初に見たときの印象にしばられ、物事の一部をとらえて、そのすべてを知ったように思いがちだ。しかし、遠くから見れば美しい富士山も、近づくにつれて岩だらけの荒々しい姿に変わる。一つの風景も、見方によって違ってくる。だから、物を見るときは、ちょっとだけ立ち止まって見方を変えてみてはどうだろうか。一歩近づいて見てみる。時間をかけて、何を中心に見るかいろいろ試してみる。①そうすれば、きっと今までに見られなかった風景が見えてくるだろう。

26. ①「そうすれば」とあるが、どうすることか。

1. 物事の良い面だけでなく悪い面も探すようにすること

2. 物を見るときはなるべく近づいてみるようにすること

3. 物を見るときは動かずに止まってみるようにすること

4. 物を見るときはさまざまな視点で見るようにすること

レストランのウエートレスや店員などが客に対する時の表現に違和感を覚える人は多いようです。例えば、「ご注文のほう、これでよろしかったでしょうか」とか。彼らは自分の言葉に自信が持てず、マニュアルどおりにするしかないのでしょう。でも、これだけマスコミなどで取り上げられているのにその間違いに全然気が付かないのは、ちょっと不思議な気がします。

27. だれが「気が付かない」のか。

1. ウェートレスや店員

2. マスコミ

3.

4. 筆者

本を見なければ、料理を何一つ作ることができないという友人がいる。結婚して10年、毎日、朝昼晩の三食を料理の本を見て作っているのだと言う。彼女は、外食するときも必ず「有名レストラン案内」というような本を読んでから出かける。服を買うときは雑誌に載っている店にいって、雑誌に載っている服を買う。つまり、彼女はどこへ行くにも何をするにも、必ず何かの雑誌や本で得た知識をもとに動いている。いや、動かされていると言ってもいいかもしれない。マニュアルなしでは行動できない、彼女のような人を「マニュアル依存症」とでも言うのだろうか。

28. 筆者が言う「マニュアル依存症」とはどんな人のことか。

1. 料理の本を見なければ晩ごはんが作れない人

2. いろいろな本や雑誌で情報を得るのが好きな人

3. 自分で得た情報と自分の判断で行動する人

4. 他人の情報と他人の判断に頼って行動する人

かって、科学者とは、誰も考えつかなかったものを発見したり発明したりする人のことでした。だれも持っていない道具を自分で作り、それを使って研究を進め、新しい真実を発見する人、つまり、めったにいない天才でした。ところが、科学の進歩にともない、一定の技術を持ったさらに多くの科学者が必要になりました。そこで、科学者を短期間で育てるための制度ができ、多くの科学者が生まれ、必要とされる職場に送られるようになりました。科学者は一般的な職業になったのです。

29. この文章の内容に合うものはどれか。

1. 科学者という職業は、天才がなるものである。

2. 科学者を多く育てることが、科学の進歩につながる。

3. 昔の科学者は天才だったが、今はそうとは限らない。

4. 科学者に対する評価は、徐々に下がってきている。

日本では、桜の花は春の象徴として人々に愛されています。しかし、本来、春に咲くはず桜が秋に咲き、ニュースで話題になることがあります。原因として異常気象や温暖化を疑う人もいるようですが、実は葉が関係しているのです。桜は、夏の間に花の芽をすでに作っています。秋に落葉し、休眠して冬の寒さに耐えますが、落葉する前に、葉の中では休眠を誘う物質が作られます。その物質が作られる前に台風などで葉が落ちてしまったり、虫によって葉が食べられたりしてしまうと、休眠できずに、ちょうど春のような気温の秋に開花してしまうのです。

30. 春に咲くはずの桜が秋に咲くのは、なぜか。

1. 異常気象や温暖化がさらに進んだため

2. 秋の気温が春の気温と同じぐらいに高くなったため

3. 葉の落ちる時期が、本来の時期とずれてしまったため

4. 葉が花の芽を作るための物質を早く作り過ぎてしまったため

世界の森林は減少し続けている。その理由の一つに商業用木材を得るための伐採がある【注】自然の森の中では、多くの場合、高価な木材として売れる木とそうではない木が一緒になって生えている。それにもかかわらず、商業的な伐採では効率上の理由から、広範囲にわったてそこに生えている木をすべて切ってしまうことがる。近年、このような伐採に対する法による規制が強まっているが、違法伐採は依然として続いているという。(注)伐採:木を切ること

31. この文章の内容に合うものはどれか。

1. 森林の減少を防ぐために、商業的な伐採は法律で禁止されている。

2. 高く売れる木材でけを選んで伐採する方法は能率がよいので、よく行われる。

3. 対象とする範囲の木を区別なく全部伐採する方法は都合がよく、今も無くなっていない。

4. 森に生えている木をすべて伐採することを規制する法律は、まだ多く残っている。

みなさんは料理をするずっと前に野菜を切って置いて置きますか。切っておくと栄養分が減ってしまうという考えは一船営職でした。しかし、タマヌギなどはすぐに料理するより、切ってから30分以上置いて料理する方が栄養分が増加することがわかってきました。人間の体は傷ができると治療のために活溌に働くことはよく知られています。切って放置しておくと、野菜が自分の身を保護するために活溌に働いて、その結果栄養分が増えるらしいです。同じように見などは冷凍したほうが栄養分が増えるそうです。まだ地にも知られていない不思議なことがありそうです。

32. 不思議なことはどんなことか。

1. 傷を治すために体が働くこと。

2. タマネギを切って置いておくと栄養が減ってしまうこと。

3. シジミを凍らせるとおいしくなるということ。

4. 切って置いておくほうがタマネギの栄養分が増えること。

ほめるという行為は、本来、自然な気持ちのあらわれです。「ほめる教育」におけるほめるという行為は、この点において異なります。自然な気持ちのあらわれなどではなく、ほかのねらいをもった(注)きわめて意図的な行為です。(中略)「ほめる教育」の場合には、ほめることそのものは本来の目的ではないのです。本来の目的は、ほめることを通して相手に影響をあたえることです。相手の心と行動に影響をあたえ、やる気を出させたり、自信をもたせたり、伸びていくようにする-----。つまり、こちらが望んでいるような方向へ向かわせることがねらいなのです。 (伊藤進『ほめるな』による)

33. 「ほめ教育」におけるほめる行為とはどのようなものか。

1. 相手を伸ばしたいという目的を持った行為である。

2. 相手自身が望む方向へ向かうようにする行為である。

3. 相手に自分が感じたことをそのまま伝える行為である。

4. 相手に自然な気持ちを表現させようとする行為である。

フランスのワイン生産者団体の一つが、日本に輸出されるワインについて、ペットボトルに入れて販売することを認めることを発表した。それまでは、ワインはガラス製のびんに入れて販売することが望まれるとして否定的な立場だったが、検査の結果、ペットボトルでも中身に問題は生じないことがはっきりしたという。ペットボトル入りのものは、軽い分、輸送費が抑えられるため、数年前から販売されてきた。今回の発表で、それがさらに拡大し、売上が伸びそうだ。

34. 今回の発表はどのような内容か。

1. フランス産ワインの販売方法について、日本のやり方を受け入れる。

2. フランス産ワインの検査方法について、今までの否定的な立場を改める。

3. フランス産ワインの販売方法の変更によって、売上の増加が予測される。

4. フランス産ワインの販売先を日本でも広げていくことを決定した。

「もう年だから」ではありません。「年だからこそ」なのです。若いころにはわからなかったことがわかってくる。見えなかったものが見えてくる。年だからこそ見えてくるのです。若いころには持てなかった、時計に追われない生活も可能です。これを有効につかわないなんて、もったいない話です。失敗のリスクだって若いときほどこわくない。度胸もすわって(注1)きます。だからこそ、新しいことに挑戦できるのです。残りの人生が少なくなってからが、本当の人生なのです。(注1)度胸がすわる:強い心をもつ

35. 「年だからこそ」なのですの説明として最も適当なものはどれか。

1. 残りの人生が少なくなってからこそ、いろいろなことをやってみるべきだ。

2. 若いときだからこそ、年を取ってからはできない新しい挑戦ができる。

3. 年を取ったからこそ、時間を有効につかわないで無駄につかうことができる。

4. 若いときこそ時間を有効につかえば、残りの人生が本当の人生になる。

旅のお知らせ★集合場所:花山駅前広場(裏面の地図をご覧ください)★集合時間:朝7時30分★注意事頃:山の天気は変化しやすいので、必ず雨具をご注意ください。また、長時間歩けるような疲れにくい履き物でご参加ください。※ 本日朝7時5分には本社社員がお待ちしております。※ 裏面に予定表とホテルなどの詳しい説明がございますので必ずお読みください。

36. 参加者が絶対にしなければならないことは何か。

1. 7 時 15 分までに行く。

2. 山登り用のくつをはく。

3. かさを持って行く。

4. 裏側の説明を読む。

日本人の生活習慣は戦後大きく変わった。最も大きな変化の一つは食生活だろう。もともと日本人は、米を中心とするカロリーの少ない食事をしていた。しかし、肉をはじめとする脂肪の多い料理をよく食べるようになり、必要以上のカロリーを摂取するようになってしまった。さらに、現代人は体を使う労働が少なくなり、消費カロリーが減少した。このような生活によって余ったカロリーは、体内に脂肪として蓄えられ、健康にさまざまな害を及ぼすことがわかっている。

37. この文章の内容に合うものはどれか。

1. 現代人はあまり働かなくなったうえに、食べ過ぎるようになった。

2. 日本人は、米を中心とする食事から、肉を中心とする食事に変えていった。

3. 食事で取るエネルギーより使うエネルギーのほうが多いと、体内の脂肪が増える

4. カロリーのとりすぎや運動不足の生活は、健康に良くない。

「人間は平等だ。だれでも努力さえすれば、成功できる」と主張する人がいる。幸せな人だと思う。その人は、自分は努力したからこそ成功したのだ、ほかの人もそうできるに違いないと思っているのだろう。いくら努力しても、周囲の環境が成功を許さないという状況を想像できないのだろう。人は国籍も親も選べない。限界だらけの中で生きている。ある意味、思ったようにいかなくて当然だ。うまくいった人はよほど幸運だったのだ。そういう人に限って、なかなか気がつかないのだが、自分だけの体験をもとに安易にものを言うと、人を傷つけてしまうことさえある。

38. この文章で筆者が主張していることは何か。

1. 人間は平等だから、努力さえすれば成功できるはずだ。

2. 人間には限界があるから、努力することが一番大切だ。

3. 人間にとって大切なのは、人を傷つけないことである。

4. 人間は、努力しても必ずしも成功できるとは限らない。

だれもが認めることだが、日本人はとにかく忙しく、時間がない。少しの暇も惜しんで、仕事、学習に、レジャーに、一生懸命がんばる。あるいは、がんばらずにはいられないのかもしれない。まじめなのはいいことだが、自分のことに一生懸命になればなるだけ、その分、他人に対する無関心は高まっていく。他人のことをかまっている余裕がなくなるのである。大阪のある駅で、先日、駅前にある植え木の間から、死後2か月以上た経った死体が発見された。植え木に隠れて見えなかったとはいえ、一日の利用者が百万人を超える駅に、警備員や清掃員はいないのだろうか。だれ一人気がつかなかったというのは、おどろきである。これが日本の大都会の日常なのだ。

39. この筆者から見た日本人の特徴は、どんなことか。

1. 何をするにもまじめだが、がんばったり、がんばらなかったりすること

2. 忙しすぎて他人に対する理解がなく、けんかばかりしていること

3. 都会の人は忙しすぎて余裕がなく、一生懸命に仕事をしないこと

4. 自分のことでいっぱいで、まわりに関心を持つ余裕がないこと

以下は、ある会社から来たはがきの内容である。拝啓 平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。さて、この度はアジーナン企画による「年末スペシャルコンサート」招待券にご応募いただき、まことにありがとうございました。応募者多数につき、厳正な抽選を行いました結果、残念ながら当選とはなりませんでした。恐縮ではございますが、ここにお知らせいたします。なお、アジーナン企画では、来年1月に「ニューイヤーコンサート」も予定いたしております。詳細は弊社ホームページで発表いたします。今回と同様、招待券をご用意する予定です。またのご応募をお待ちしております。今後とも、アジーナン企画へのご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。 敬具 ァジーナン計画株式会社

40. このお知らせを受け取った人の説明として、正しいものはどれか。

1. この人は、今年の年末スペシャルコンサートに応募しなかった。

2. この人は、今年の年末スペシャルコンサートに招待されない。

3. この人は、来年のニューイヤーコンサートに応募した。

4. この人は、来年のニューイヤーコンサートに招待される。

毎年春に「なるほど展」という展示会が都内のあるデパートで行われる。これは日本婦人発明家協会が主催するもので、女性の発明品を展示公開するもの。日常生活の中で、「こんなものがあれば便利じゃないかな」と思う気持ちから生み出された「①なるほど!」と感心させられるようなものが全国から集まり、出品される。研究者や科学者の発想とは全く違い、だれでも気軽に手にすることのできるものばかりだ。( ② )、100歳近いお年寄りの考案した伸縮自在の杖、はいているだけでダイエットに効果のあるスリッパ、あると助かる介護用品、洗濯機で洗う物がしわにならないネットなど、生活に密着したものばかりだ。その中で、優秀な作品には「なるほど賞」や関係官公庁からの賞が贈られ、マスコミにも発表される。一般家庭の主婦が何か考案ても、それを発表する機会はほとんどなく、また特許申請をしたり商品化したりしようと思っても、どうしたらよいのかわからないのが普通である。そこで、そういう人たちを支援しようと50年あまり前に生まれたのがこの協会。アイディアの段階、考案の芽の段階であっても、相談に応じてくれ、いろいろなアドバイスをしてくれる。この展示会に行くと、発明の種は日常生活のあらゆるところに潜んでいることを実感させられる。

41. 何に対して①「なるほど」と言っているのか。

1. 身近だということに対して

2. どれも優秀な作品であることに対して

3. アイディアの良さに対して

4. 生活に密着していることに対して

42. (②)に入る言葉として、適当なものはどれか。

1. すると

2. つまり

3. ところで

4. たとえば

43. 本文の内容と合っているのはどれか。

1. この教会は全国のプロの発明家を支援するためにつくられた。

2. 「なるほど展」には日常生活に密着したものしか展示できない。

3. この協会では、発明に関するいろいろな相談に応じてくれる。

4. 「なるほど展」に展示される作品は賞をもらったものばかりである。

「日本の消費者は世界一、目が肥えている(注1)」という言葉には2つの意味がある。第1は機能や味などへの要求水準が高いこと。第2には、わずかな傷も許さないなど見た目へのこだわりだ。 消費者は後者のこだわりを捨てつつある。それでは消費者は嫌々「傷物」に目を向け、我慢して買っているのか。必ずしもそうではない。 衣料品や家具などでは中古品市場や消費者同士の交換が盛んだ。再利用でごみが減り、環境にもいい。商品の傷も前の使用者のぬくもり(注2)とプラスにとらえる感性(注3)が若い人を中心に広がっている。 規格(注4)外の農産物も似ている。ごみになるはずのものを安く使い、エコロジーと節約を両立させることに、前向きの価値を見いだしているのではないか。不ぞろいな野菜は、むしろ手作り品を思わせる長所。消費者の新たな価値観に、企業がようやく追いついてきた。 市場が広がれば、粗悪品(注5)や不良品が出回る可能性も高まる。なぜ安いのか。本来の価値は損なわれていないか。企業の責任は重い。消費者にも「厳しい目」をきちんと持つことが求められる。 (日本経済新聞2009年8月27日付朝刊による) (注1)目が肥えている:よい物を見慣れていて、物の価値がわかる (注2)ぬくもり:あたたかい感じ (注3)感性:感じ方 (注4)規格:基準 (注5)粗悪品:粗末で質が悪いもの

44. 以前と比べ、消費者はどのように変わったか。

1. 商品の機能や味を重視しなくなった。

2. 商品の機能や味を重視するようになった。

3. 商品の傷などの見た目を気にしなくなった。

4. 商品の傷などの見た目を気にするようになった。

45. 筆者は、消費者の意識の変化をどのようにとらえているか。

1. 少しぐらい質が下がっても、安いほうがいいと考えるようになった。

2. ものに対する要求水準が下がって、どの商品にも価値を認めるようになった。

3. 多少問題があっても、環境のために我慢するほうがいいと思うようになった。

4. 今まで問題があると思われたものにも、違った価値があると思うようになった。

46. 追いついてきたとあるが、企業がどうなってきたのか。

1. 見た目にこだわらなくなった。

2. 環境への責任の重さを感じ始めた。

3. 消費者の厳しい目を意識するようになった。

4. 消費者の意識の変化をくみ取るようになった。.

旅先で、すばらしい風景や名所旧跡(注1)に出合ったとき、わたしも人なみには感激する。しかし、①その感動はながつづきしない。すぐに退屈してしまう。私の勤務先は巨大な公園のなかにある。歩いて出勤することもおおい。『すばらしい環境のなかを通っての出勤で、うらやましいですな』といわれる。ところが、わたしによって、歩きなれた道は退屈である。緑の自然を楽しむより、街なかの雑踏(注2)を歩くほうがおもしろい。自然の風景や名所旧跡は静的である。いつ出かけても、おなじ景色にめぐりあえる。背景の自然は季節ごとに変わっても、滝とか、お寺など、風景の主人公はあまり変化しない。そこで、絵はがきがつくられる。そこへ行ったことのない人へ、自分の感動を伝える手段として、風景や美術品の絵のはがきは発生した。しかし、投函する(注3)ためではなく、②個人的コレクションとして、絵はがきを集める人が、案内おおいのである。ときどき、ながめたり、人に見せたりして、旅の追体験をし、イメージを固定化するのだ。絵はがき型の人間にたいして、市場型とでもいうべき人びとがいる。私は市場型人間の典型だ。見知らぬ土地へ出かけたら、観光名所は省略しても、市場へは足をはこぶ。食文化の研究をしているので、市場は情報源として大切な場所である。市場はその土地の『生きた食物図鑑』である。そんな職業意識をはなれても、市場はおもしろい。売り手と買い手の駆け引き(注4)など、人びとのふるまい(注5)を見ていたら、退屈することはない。市場は『生活のショーウインドー』なのである。 石毛直道『食べるお仕事』にとる(注1)旧跡:歴史上の出来事があった場所や、歴史上の物が残っている所(注2)雑踏:人がたくさんいて込み合っている所(注3)投函する:ポストに入れる(注4)駆け引き:自分に有利になるように相手とやり取りすること(注5)ふるまい:行動

47. ①その感動はながつづきしないとあるが、それはなぜか。

1. 筆者は、勤務先の環境がよく、美しい風景を見なれているから

2. 筆者は、街中の風景が好きで、古いものや自然に興味がないから

3. すばらしい風景や名所などは、いつもおなじで変化が感じられないから

4. すばらしい風景や名所などは、すでに絵はがきになっていて珍しくないから

48. ②個人的コレクションとして絵はがきを集める目的は何か。

1. 実際に見て感動した景色などを、そこに行っていない人に送るため

2. 自分が訪れた場所の季節の変化を、イネージできるようにするため

3. 訪れた場所の風景や名所などを振り返り、はっきりと記憶に残すため

4. 旅先で集めたものを保存しておいて、多くの人たちと情報を交換するため

49. 市場型人間は何のために市場へ行くのか。

1. 市場で人びとの生き生きとした様子を観察するため

2. 市場で実際に売られている食物の記録をとるため

3. 見知らぬ街の市場で珍しいものを見つけるため

4. 絵はがきのような市場の風景を自分の目で見るため

ご近所トラブルは、古くて新しい問題だ。(中略)警察庁の統計によると、昨年、近隣関係や家庭などをめぐり全国の警察に寄せられた安全相談は約16万6千件。07年の約13万件に比べ3割ほど増えている。騒音問題など近隣トラブルに詳しい八戸工業大学の橋本典久教授(音環境工学)は、「マンションの床は以前より厚さが増し、騒音対策もされたのに苦情は減っていない。音に対する感性が変わり、敏感になっている(注1)」と指摘する。橋本教授によると、15年ほど前から苦情件数は増え始め、00年ごろからは学校や公園で遊ぶ子どもの声への苦情が目立ってきた。「セミやカエルの鳴き声がうるさいから何とかしろ、という苦情も行政(注2)に寄せられる」という。なぜ増えているのか。核家族(注3)化で各自が個室を持ち、近所の人を自宅に招いてお茶を飲むような機会も減っている。目白大学の渋谷昌三教授(社会心理学)は「他者をもてなす(注4)場でもあった縄張り(注5)に人を入れることがなくなり、自分の殻に閉じこもる人が増えた」と分析する。また、独り暮らしの高齢者などに見られる傾向にも注目する。「孤独な人ほど人と交わりたいという欲求が強まり、近所の人の言動が気になってしま、『年寄りの繰り言(注6)』という言葉があるが、しつこく苦情を言う人ほど、実はコミュニケーションを取りたがっているということかもしれない」と話す。 (朝日新聞2012年11月17日朝刊による)(注1)敏感になる:感覚が鋭くなる(注2)行政:国や役所など、公的なサービスを行うところ(注3)核家族:夫婦だけ、または夫婦と子供だけの家族(注4)もてなす:客を歓迎して、世話をしたり相手をしたりする(注5)縄張り:自分の場所だと意識している範囲(注6)繰り言:言ってもどうにもならない不満

50. 音に対する感性が変わり、敏感になっているとは、どういうことか。

1. 聞こえてくるどんな音も気になってしまう。

2. 小さい音をもっとよく聞こうとしてしまう。

3. いろいろな音を聞き分ける能力が高くなっている。

4. 人工的な音よりも自然界に存在する音を求めてい。

51. 子供の声などへの苦情が増えているのはなぜか。

1. 住宅の騒音対策が不十分だから。

2. うるさい子どもが親に注意されなくなったから

3. セミやカエルなどが増えて、昔よりうるさくなったから

4. 近所と付き合う機会が減り、近所の人への不満を持ちやすくなったから

52. ご近所トラブルについて、この文章ではどのように述べているか。

1. 役所や警察は、ご近所トラブルにもっと注意を向けたほうがよい。

2. ご近所トラブルを避けるためには、騒音対策が有効である。

3. ご近所トラブルは、最近になって増えてきた、新しい問題だ。

4. ご近所トラブルの背泉には、生活のしかたの変化がある。

イヌの散歩をしていると、最近ではイヌも挨拶の仕方を忘れてしまったのではないかと思ってしまいます。集団行動を経験したことがあるイヌ、もしくは(注1)、飼い主からイヌらしい教育を受けて順位制(注2)を感じることができるようになったイヌは、道でほかのイヌにすれ違い近づいたときには挨拶らしいことをします。ところが、集団行動の経験もなく、家でも甘やかされて育って、イヌは現代のヒト社会のように挨拶をしないように見えます。挨拶をするイヌが、ほかの挨拶なしのイヌに対して威嚇する(注3)ことが観察されます。ところが、この挨拶犬が子イヌと遭遇したときには、子イヌが挨拶をできなくても威嚇をしないことが多いのです。挨拶犬にとって子イヌであるというシグナルがなんなのかわかりませんが、とにかく子イヌと成犬とを区別したうえで挨拶のあるなしを判断しているようです。イヌの挨拶行動は、生得的(注4)あるいは習得的学習的のどちらでしょうか?順位制にしたがった行動ができるようになったイヌでは、イヌ社会での経験がなくてもある程度の挨拶行動ができることから、生得的であるといえます。また、より儀式的な挨拶行動が円滑に(注5)実行されるためには、ほかのイヌとの集団生活があったほうがよいことから、習得的な部分もあるといえるでしょう。針山孝彦『生き物たちの情報戦略------生存をかけた静かなる戦い』による(注1)もしくは:または(注2)順位制:上下関係にもとづいてできた順序の決まり(注3)威嚇する:ここでは、ほえて相手を怖がるせる(注4)生得的:生まれたときから持っている(注5)円滑に:スムーズに、滑らかに

53. この文章によると、挨拶をしない、またはできないイヌはどれか。

1. 子イヌと成犬を区別できないイヌ

2. 挨拶をしない親イヌに育てられた子イヌ

3. 他のイヌと一緒に生活をしたことがあるイヌ

4. イヌ社会の経験も飼い主による教育もないイヌ

54. この文章によると、どんなイヌがどんなイヌにほえて、怖がらせるか。

1. 挨拶できるイヌが挨拶しない成犬に

2. 挨拶できるイヌが挨拶しない子イヌに

3. 挨拶できないイヌが挨拶する成犬に

4. 挨拶できないイヌ挨拶する子イヌに

55. 筆者は、イヌの挨拶行動についてどのように述べているか。

1. イヌ社会での経験より飼い主の教育があったほうが、スムーズにできる

2. イヌ社会での経験は必ずしも必要ではないが、あればスムーズにできる 

3. イヌ社会での集団生活と食い主の教育によって初めて習得できるもの

4. イヌ社会での集団生活を経験することによって初めて習得できるもの

以前、猫の雑誌で読者の人の投稿(注1)を読んではっとさせられた(注2)ことがある。子育てが一段落としたという投稿者の女性は、日々猫に癒されている(注3)そうなのだが、猫がごはんを食べたりしただけで「たくさん食べて偉いね」などと褒めちぎっているのだという。そんな自分の行動から、「自分の子供にも口うるさいことばかり言わずに、もっとやさしく接して褒めてやればよかった」と①振り返っていたのだが、子どものいない私にもその言葉は心に染み入るものだった。子どもに限らず、家族や友人や恋人に私たちは様々な期待をし、時に「本人のため」という理由から厳しい態度をとることがある。特に「親」という立場であれば、子どもを自立した大人にしなければ、というプレッシャー(注4)からどうしても厳しくなってしまうだろう。しかし、それは時に本人を必要以上に追いつめ、最低限の「自信」すら奪ってしまうこともある。(中略)だからといって②毎日本当に食べて寝て遊んでばかりいられても困ると言えば困るが、基本的には元気でいてくれたらそれでOKな気がする。注意 投稿:新聞・雑誌などに読者が送った原稿 はっとする:急に何かに気づく 癒す:病気・傷・苦しみなどを治す プレッシャー:精神的な圧力

56. ①振り返っていたのはだれか。

1. 筑波

2. 投稿者の女性

3.

4. 投稿者の女性の子供

57. ②毎日本当に食べて寝て遊んでばかりいられても困ると言えば困るとはどういうことか。

1. 母親が全然子どもを叱らず放っておくと、子どもが困る。

2. 母親が家事もせず、子どもの世話もしないと、ほかの人が困る。

3. 子どもが遊んでばかりでは、大人になったときのことが心配で親は困る。

4. 子どもが食べて寝て遊んでばかりいては体に悪いので、親は心配で困る。

58. この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

1. 自分の将来のために相手に期待をすることは恥ずかしいから、やめたほうがいい。

2. 投稿者の女性が子どもにも猫にも優しく接するという話は、心温まることである。

3. 子どもを自立した大人にするために、甘やかさず厳しく接するのはりっぱなことである。

4. 相手のためと思ってとった厳しい態度が、逆に相手を追いつめてしまう場合もある。

人間は、繰り返し練習することで、難しい作業であっても巧みに(注1)素早くできるようになりす。しかし、この能力が仇なって(注2)、ミスにつながることもあります。毎日変化のない仕事を大量にこなしていると、「次の仕事もいつものパターンと同じだろう」と思い込む(注3)ようになります。普段は歩行者がほとんど無い横断歩道では、自転車のドライバーはあまり注意せずに通過します。歩道者は現れないと思い込んでいるからです。それゆえ、まれに歩道者が現れると轢いてしまうのです。一見安全と思える場所でも事故が起こるのは、このため(1)です。(中略)思い込むによるミスは、深刻な結果を引き起こすことがあります。一旦こうに違いないと思い込んでしまうと、その後に着者する作業が、なまじ注4練習効果があるために、素早く徹底的に実行されてしあまうからです。間違いは無いと思い込んだまま、患者の取り違えに気付かず、心臓た肺を手述したという医療ミスの事例があります。そのような事例のいずれの場合でも、途中で気付かれることなく、手術自体は完遂(注5)されてしまいました。慣れている医帥だからこそ仕事が速く、ミスに気付く前に手術が終わってしまうのです。つまり玄人(注6)の方が危ない(2)のです。むしろ経験が浅い方が、慎重になって時間がかかるので、完了する前にミスに気付けるチャンスが多いと言えます。(中用亨『「事務ミス」をナメるな!』光文社新書による)(注1)巧みに:上手に(注2)仇となる:害になる(注3)思い込む:強く信じる(注4)なまじ:(なくてもいいのに)少し(注5)完遂:最後までやり終わること(注6)玄人:その仕事が専門のひと。専門家、プロ

59. (1)このためとはどのような内容を指すか。

1. 安全な場所だろうと思われる場所で事故が起こるため

2. 歩道者があまり渡らない横断歩道であるため

3. ドライバーが歩道者に気をつけなさいと言われないため

4. 歩道者が渡はずがないと考えてしまうため

60. 筆者はなぜ(2)玄人の方が危ないと考えるのか。

1. 玄人はミスが起こっても、ミスに気がつく前に仕事を終えてしまうから

2. 玄人は自分がミスをすることに慣れていないので、対応できないから

3. 玄人は丁寧に仕事をするので、時間がかかりすぎてしまうから

4. 玄人はミスが起こらないように早く仕事を終えた方がいいと思い込んでいるから

61. この文章で筆者が最も言いたいことはどれか。

1. 玄人より素人のほうがミスに気付けるから優れている。

2. 繰り返し練習してミスをしないようにしなければならない。

3. 難しいことが簡単にできるせいで、ミスが起きることがある。

4. ミスが起きないように、仕事は注意深くゆっくりするべきである。

どうして日本人はお返しをするのかと、たびたび外国人から質問される。私もなぜだかわからない。習慣だからとしか答えられない。くれた人にお札の気持ちを表すためにお返しをするのだろう。一生の間には結婚、葬式、赤ちゃんの誕生、入学、卒業、引っ越しなどうれしいことや悲しいことなどが起こる。そのたびにお金やプレゼントをあげたりもらったりする。収入がない人がもらった場合や会社を辞めたり引っ越しなどで別れるときはお返しの必要はない。でも子どもの代わりに親が返すこともある。お返しにはお菓子や皿やタオルなどさまざまな物が選ばれた。最近人気が高いのは「カタログ」だ。もらった人がカタログの中から自分の好きな物を選んで送ってもらえるからだ。お返しにいらない物をもらって困った試験がある人が多いので、カタログをもらうと喜ぶ人が多いようだ。しかし自分へのお返しを自分で選ぶのは何だか変な気がする。このお返しの習慣はなかなかなくならないと思う。しかしお返しを止めて福施施設などに寄付する人や、お返しは要らないと言って最初からあげる金額や品物を減らす人も出てきた。少しずつ変わっていってほしい習慣だ。

62. 「お返し」というのは何か。

1. お礼の気持ちを表すためにあげる品物。

2. お礼の気持ちが書かれた手紙。

3. お礼の気持ちを表すためにわたすお金。

4. お礼の気持ちを表すために親がわたす品物。

63. 最近、お返しはどう変わってきたか。

1. お返しをもらわない人が多くなった。

2. お菓子や皿やタオルなどは喜ばれなくなった。

3. カタログの人気が出てきた。

4. いらないものをもらうことはなくなった。

64. 著者はお返しについてどう思っているか。

1. 寄付するようにしてほしい。

2. 外国人に理解できない習慣なので止めたほうがいい。

3. カタログを返す習慣に変わっていってほしい。

4. お返しの習慣はなくなっていってほしい。

かなり前、職人は「仕事は盗んで覚えるものだ」といっていたと伝わっている。私も若いころ、その話に近いことをいう職人たちと働いたことがある。しかし私は、そう豪語する(注1)人に限ってさほどの(注2)技量を持っていないと思っていた。いい仕事をする人は、仕事を覚え始める人には親切に基本を教えていたし、少しは仕事ができる人に対しても、①その人にとって初めての仕事ならば、やはり道具や機械の扱い方、手順(注3)などを分かりやすく話すという光景に出合っている。どうしてそうするかといえば、いい仕事をする人ほど、その仕事の一番大切なところは教わって覚えられるものではないと分かっていて、だからこそ、その最後のところを早く分かってもらえるように、教えられる基本の部分は教えようと考えるのだと思われる。また、自分の仕事能力に自信があるから、教えることを惜しまない(注4)。力がない人ほど、教えようにも何を教えたらいいのかが分からず、教える方法を知らない。また、教えると自分の競争相手を作ることになると考えて、教えることを止めてしまう。②「そんな」と思うかもしれないが、結構そのタイプの人がいた。いまも、いる。 (森清『働くって何だ 30のアドバイス』岩波書店による)(注1)豪語する:自信があるように見せて、大きいことを言う(注2)さほどの:それほどの(注3)手順:何かをするときの順番(注4)惜しまない:もったいないと思わないで、どんどんやる

65. ①その人とは、だれを指すか。

1. 仕事を覚え始める人

2. 少しは仕事ができる人

3. いい仕事をする人

4. 「仕事は盗んで覚えるものだ 」といっている人

66. ②「そんな」と思うとは、どういう意味か。

1. 読者が「そんなことは信じられない」と思う

2. 読者が「そんなことは当然だ」と思う。

3. いい仕事をしている人が「そんなことは信じられない」と思う。

4. いい仕事をしている人が「そんなことは当然だ」と思う。

67. 筆者は、仕事を教えることについて、どう考えているか。

1. 仕事を教えれば、仕事の競争相手をつくってしまう。働いている人が仕事を教えたくないと考えるのは当然だ。

2. 仕事を教えたくないと考える人は、実は仕事の能力が低い。能力の高い人は、ちゃんと仕事を教えるものだ。

3. 働き始める人は、仕事を教えてもらおうと考えてはいけない。仕事を盗むぐらいの気持ちで働くべきだ。

4. 仕事の一番大切な部分だけは、教えるべきだ。働く人は、それを早く理解できるように努力してほしい。

誰でも子供の時というのは黄金時代なのである。その時には何も感じないような平凡な出来事でも、時をへてみると、いつしか(注1)黄金に変わっている。①ふだんは気がついていなくても、おの時にへと想いを馳せれば(注2)、そこいら中(注3)、黄金でないものはない。子供の頃の雑誌かなにかの教材(注4)で、点がばらばらに投げ出されていて、その点に番号が打ってある。その番号順に点を結んでいけば、ライオンやゾウの姿が浮かんでくる。これは数字を学習するための教材なのであるが、私は幼い頃の記憶もこれに似ていると思う。散らばった点は無数にあり、②星のように光っているものも、燃え尽きて消え入ろうとするものもあるのだが、点と点とを結んでいくと記憶がありありと甦ってくる(注5)。消えそうな点も、もう一度輝き出すのである。そうやって現れてくるものは、結んでいく点の順番によって、どのようにでも変わっていく。(中略)昔はみんな子供だったのである。誰もが記憶の中に黄金を埋蔵(注6)させている。問題はそれを掘り起こすかどうかであって、掘ろうという意志を持ったとたん、地下鉱脈(注7)を掘りあてたかのように③黄金はあふれ出してくる。 (立松和平『いい人生』野草社による)(注1)いつしか:いつの間にか(注2) 想いを馳せる:遠く離れている人や物事のことを思う(注3) そこいら中:そこも、ここも、全部(注4) 教材:教えるための材料や道具(注5) 甦る:死にそうだったり、消しえそうだったりしたものが、もう一度元気になる(注6) 埋蔵させている:土の中に埋めてかくしてある(注7) 鉱脈:役に立つ鉱物が埋まっているところ (

68. ①ふだんは気がついていなくてもとは、何に気がついていないのか。

1. 毎日の生活の中の平凡な出来事

2. 子供のころの平凡な出来事

3. 子供時代は黄金時代だということ

4. 平凡な毎日が黄金のような価値を持つということ

69. ②星のように光っているものも、燃え尽きて消え入ろうとするものもあるとは、ここではどのような内容を指すか。

1. りっぱなライオンやゾウもいるが、年をとって元気がないライオンやゾウもいる。

2. はっきり覚えている出来事もあるが、ほとんど忘れてしまった出来事もある。

3. 美しくはっきり見える点もあるが、はっきり見えない点もある。

4. 点と点をきれいに結んで書けた線もあるが、うまく書けなくて消えそうな線もある。

70. ③黄金はあふれ出してくるの「黄金」とは何か。なぜあふれ出してくるのか。

1. 「黄金」とは美しい心のことで、それは子供の中に隠れているからである。

2. 「黄金」とは努力する力のことで、それはみんなが持っているからである。

3. 「黄金」とは美しい思い出で、それを思い出そうとしたからである。

4. 「黄金」とは子供のときの才能で、それを伸ばそうと努力したからである。

私はマネ(注1)の作品に独特の「目」を感じます。その最大の理由はどこにあるのでしょうか。一般的な絵画の場合、ルノワール(注1)にしてもモネ(注1)にしても、我々が普通に見た時の姿が基準で描かれています。つまり鑑賞者が主役に仕上げられている絵であり、それは、「私が見ている絵」ということになります。しかしマネの作品の場合は、あくまでも絵そのものが主役に仕上げられており、それは、我々に「(A)」という気を起こさせます。おそらく、マネ自体が、独自の視点(注2)・視線で物事を捉えていたのでしょう。有名な「笛を吹く少年」にしても、一見、普通に笛を吹いている少年の絵のような図柄であり、少年の目が特別鋭くこちらを見ている絵でないにもかかわらず、どこから見ても、①なぜかこちらをじっと見られているような気になります。他の作品にしても、いずれも絵そのものに、非常に強い主張が感じられます。マネはまた、純粋絵画を目指した画家でした。それは、絵を鑑賞する際のあらゆる解釈を取り除き、絵そのものの存在感だけを追求したということです。「解釈は関係ない。そこに絵が存在する」。彼の絵があれほど主張を感じさせるのは、②そこからきているのでしょう。(吉村絵美夢『修復家だけが知る名画の真実』青春出版社による)(注1)マネ、ルノワール、モネ:19世紀から20世紀はじめのフランスの画家(注2)視点:物事を見たり考えたりする立場

71. (A)に入れるのに最も適当な語句はどれか。

1. 絵に見られている

2. 私たちが見ている絵

3. 絵を見ている私

4. 私に見られている

72. ①「なぜかこちらをじっと見られているような気になります」とあるが、どういうことか。

1. 視線が鑑賞者に向いているということ

2. 少年に独自の視線があるということ

3. 論理的には解釈ができないということ

4. 絵画自体に存在感があるということ

73. ②「そこ」とは何を指すか。

1. マネの絵画が鑑賞者たちに純粋な印象を強く与えるところ

2. 絵画の方から鑑賞者を見ているように感じられるところ

3. 現実の鑑賞者の前に絵画そのものが存在しているところ

4. 鑑賞者による解釈の可能性が意識的に除かれているところ

たとえば、「走る」ことは、一見単純で誰にでもできる運動ではあるが、「速く走る技術」となると、なかなか①身につけることが難しい。教えられたように走るフォームを改善することが簡単ではないからだ。 誰でもできる運動なのに、なぜその改善が難しいのだろう。 実は、普段慣れている動作ほど、その動作に対する神経支配がしっかりとできあがっているからだ。運動の技術やフォームを改善することは、その運動を支配する神経回路(注1)を組みかえることになるので、そう簡単にはいかない。 コーチは、腕を振り、膝の運び方、上体の前傾の取り方など、フォームを矯正(注2)しようと指導し、指導を受けるランナー(注3)も指摘された体の動きの修正に意識を向けてトレーニングするのが普通である。しかし、動作の修正には多くの時間と繰り返しが必要であり、またその効果が上がらないことも多い。そして、トレーニングの効果が上がらない人は、「運動神経」が良くないということになる。 ②この場合、運動技術の修正は、「運動の神経回路を修正する」ことであると考えることによって、解決の糸口(注4)がみつかる。 スポーツ技術や「身のこなし(注5)」の習得には、神経回路に直接的に刺激を与えるようなトレーニング上の工夫が必要である。 工夫をいろいろと重ねるうちに、「動作をイメージし、それに体感する」ことが、運動の神経回路を改善するのにきわめて有効であることがわかってきた。 (小林寛道『運動神経の科学-誰でも足は速くなる』による) (注1)神経回路:ここでは、神経をつなぐ仕組み (注2)矯正する:正しくなるように直す (注3)ランナー、走る人 (注4)糸ロ:きっかけ (注5)身のこなし:体の動かし方

74. 早く走る技術」はなぜ①身につけることが難しいのか。

1. 走るフォームは一度度固定されると変えられないから

2. 走るフォームを指導する方法があまり改善されていないから

3. 走るための神経の仕組みはすでにできていて変えにくいから

4. 走るための神経の仕組みは他の動作とは違う特殊なものだから

75. ②この場合とはどんな場合か。

1. 練習に十分な時間が取れない場合

2. 練習の効果がうまく現れない場合

3. 走り方の改善に集中できない場合

4. コーチの指導が理解できない場合

76. 筆者によると、「速く走る技術」を身につけるにはどうすればよいか。

1. 速く走る動きを頭に描いてその感覚を体で感じるようにする。

2. 神経の仕組みに直接刺激を与えるためにいろいろな走り方を試す。

3. 頭で考えるよりも、何度も練習を重ねて体で覚えるようにする。

4. コーチの指導を受けながら走り方の修正に全神経を集中させて走る。

医師が説明する診断(注1)の結果、病名、大事なキーワード、治療(注2)の内容など、大事な事柄はできるだけメモをしておくことが必要だ。面接の最中に詳しくメモをすることは、記者のように職業的に取材に慣れている人でないと無理だが、本当に大事なポイントとか重要なキーワードくらいは、その場でメモできるだろう。当然、メモ用紙とペンくらいは持っていなければならない。そういう断片的な(注3)メモだけではどういう意味だったか、すぐにわからなくなるから、面接が終わったら、待合室(注4)のベンチなどで、会計や投薬(注5)を待つ間に、より詳しくメモを追加する。家に帰ってからまとめて書こうなどと思っていると、忘れてしまうことが多い。やはり病院なり診療所にいるうちに、医師の肉声を耳で思い返しながら、メモづくりをするのがよい。そして、メモを書こうとすると、気づかされることがある。わかったつもりで「ハイ、ハイ」と聞いていたことが、実はよくわかっていなかったとか、理屈(注6)がよくわからないとか、今後の治療がどんな日程で進められ、その間に痛みや不快感を味わうことがあるのかどうかについてしっかりと確認していなかった、といったことを思い知らされるのだ。そういった疑問は、次の面接のときに聞くべきものとして、整理しておくとよい。 (柳田邦男『元気が出る患者学』新潮社による)(注1)診断:医者が病気について判断すること(注2)治療:病気やけがを医者などが治すこと(注3)断片的な:小さくて部分的な(注4)待合室:病院などで順番が来るのを待つための部屋(注5)投薬:(医者や病院が患者に)薬を与えること(注6)理屈:理由と結論の関係

77. 筆者は、面接のときにはどのようにメモをするといいと言っているか。

1. 医者が説明することをなるべく詳しく、文章でメモする。

2. 医者が説明することのうち、大切なポイントだけをメモする。

3. 医者の説明することに「ハイ、ハイ」とうなずきながらメモをする。

4. 後で意味がわからなくならないように、医者の話したようにメモをする。

78. 筆者は面接嫌わったら、どうしたらいいと言っているか。

1. 家に帰ってから、自分の書いたメモに足りない内容を詳しく書き加えるといい。

2. 医者の話した内容についてよくわからないことを、会計などで聞くといい。

3. 面接中に書いたメモの意味をはっきりさせるため、すぐメモを書き加えるといい。

4. 病院にいるうちに質問できるように、詳しくメモを書きながら会計を待つといい。

79. メモを書くときに何に気づかされるのか。

1. 医者に説明してもらったが、まだよくわかっていないこと

2. メモを取って、それが後から理解できなくなることがあること

3. 医者に説明されて、不快な気持ちになったこと

4. わからないことがあれば、次の面接のときに聞くべきであること

①ある哲学者が、こんな打ち明け話をした。(注1)学生のころ、陸上競技の選手をしていたこの人は、運動と勉強の両方をするのは、忙しい。充分な勉強もできない。こう考えて、思い切って、陸上競技の練習をやめてしまった。それで勉強の成績は上がるだろうと考えたが、実際には、逆に成績が下がってしまった。おかしいと反省して、やはり、忙しくなくなったことで、勉強の能率が悪くなり、手早くしていた勉強が時間の増えた分、のろくなったということがわかった。運動と勉強の両方をしていたときの集中がゆるんでしまったのは失敗だったと、この哲学者は若き日を回顧した(注2)。なまじ時間があると(注3)、仕事の能率が悪くなる。忙しい方がよく仕事ができる、というのは、ヒマな人には想定外のことである。仕事が多くなれば、仕事が早くなり、案外時間があまる。時間があると思うと、仕事がのろくなり、のんびりするから、時間内に仕上げることもできなくなったりする。(中略)予定表をそばに置いて、予定と競争して勉強すると、どんどんすすみ、とても無理だと思ったことが予定の時間内にできてしまい時間があまることもある。②忙しくしたから、ヒマが生まれたのである。ヒマな人がたくさんの仕事を予定して時間内にこなす(注4)ようにすれば、つまらぬことに時間を空費する(注5)ことはなくなると気づいたという。 (外山滋比古『傷のあるリンゴ』東京書籍による) (注1) 打ち明け話をする:言わないでかくていたこをを話す(注2) 回顧する:昔のことを思い出す(注3) なまじ時間があると:十分ではなくても時間に余裕があると(注4) こなす:やるべきことを処理する(注5) 空費する:むだに使う

80. ①ある哲学者が話した内容として、正しいものはどれか。

1. 彼は、学生時代に勉強の成績もよかったから、陸上競技の選手にもなった。

2. 彼は、学生時代に陸上競技の選手だったから、勉強の成績が下がってしまった。

3. 彼は、学生時代に勉強の成績が下がってしまったから、陸上競技をやめた。

4. 彼は、学生時代に陸上競技をやめたら、勉強の成績が下がってしまった。

81. ②忙しくしたから、ヒマが生まれたとは、どういう意味か。

1. 忙しい人は、ヒマをつくろうとがんばるから、ヒマができる。

2. 忙しい人は、能率よく仕事をしようとするから、ヒマができる。

3. 忙しい人は、ヒマをつくることに慣れているから、ヒマができる。

4. 忙しい人は、のんびりするときにも集中できるから、ヒマができる。

82. 筆者が述べたいことは何か。

1. 忙しいほど、ヒマできる。

2. ヒマな人ほど、ヒマを上手に使える。

3. 忙い人はいつも忙しく、ヒマな人はいつもヒマである。

4. ヒマになれば、時間をむだにすることはなくなるだろう。

「ルール」はなぜあるのでしょうか?スポーツを理解するために最初に確認しておきますが、“スポーツは人間が楽しむためのもの”です。これが出発点です。決して「世の中に無ければならないモノ」でもなければ、生きるためにどうしても「必要なモノ」でもありませんが、楽しむためのモノであり、その“スポーツを楽しむ”ために「ルール」があるのです。そして、ルールのもとで勝敗を競いますが、このことが楽しくないのであれば、スポーツをする価値はありません。他のことをやった方がずっとマシ(注)です。なぜなら、スポーツは「Play/ブレー」(=遊び)だからです。遊びである以上、好きにならなくてはいけないモノではありません。好きでないなら、しなければいいのです。決して無理をする必要はありません。スポーツへの参加は強制されるのではなく、自由意思によるものでなければ、「遊び(=Play)」になりません。(中略)「ルール」とは楽しむための具体的な約束事、つまり、「プレー(遊ぶ)」するために存在するのです。「ルール」というのは「いい」「悪い」を判断するものではありません。「楽しいか」「楽しくないか」が第一の判断基準です(ここが「法律とルールの違うところ」です)。 (高峰修『スポーツ教養入門』岬友書店による)(注)マシ:そのほうが、まだよい`

83. これが出発点ですとは、どういう意味か。

1. スポーツは、人間が楽しむためのものとして生まれた。

2. 人間は、スポーツを楽しむ存在として生まれてきた。

3. この文章では、まず、スポーツについて考える。

4. この文章では、まず、楽しむことについて考える。

84. スポーツのルールと、法律との違いについて、筆者の考えと合うものはどれか。

1. 法律は「いい」「悪い」を判断するものだが、スポーツのルールはそれを目的にはしていない。

2. スポーツのルールは「いい」「悪い」を判断するものだが、法律はそれを目的にはしていない。

3. スポーツのルールも法律も「いい」「悪い」を判断するものではないが、法律のほうが具体的である。

4. スポーツのルールも法律も「いい」「悪い」を判断するものではないが、スポーツのルールのほうが具体的である。

85. 筆者がこの文章で述べていることと合っているものは、どれか。

1. スポーツは遊びなので、ルールに関係なく自由にやればよい。

2. ルールを楽しめるスポーツほど価値の高いスポーツである。

3. スポーツのルールを守るのはつまらないと思うなら、スポーツをする必要はない。

4. スポーツは、ルールを守るためであっても、無理をして頑張りすぎないほうがいい。

何かを評価する時、日本人は100点を満点とする方法を採りがちです。小学校入学以来、繰り返し行われるテストがその典型で、すべての出題に正解すれば100点。間違った場合は、その分を差し引いていく。つまり限定法です。これは中間レベルを相対的(注1)に評価する場合に適しています。たとえば30じんのクラスで100点満点のテストを実施したとしましょう。得点(評価)は0点から100点まで分布します。60点の人は50点の人よりも高く評価される。これは誰にでもわかりまう。ところが、100点の人が5人いたとしたら、どうでしょうか。5人が優秀なのはわかるけれど、彼らに正当な評価がされたとは言えません。100点という「天井」を設定したために、評価が曖昧になってしまうわけです。こうした方法で評価していると、評価を受ける側は100点を目標にするようになります。試験に出そうなかとだけを勉強し、それ以外はやってもムダと考えるわけです。すると、努力し続ければどんどん伸びる可能性があるのに、100点で止まってしまうことになります。こうしたことを避けるために、評価方法として加点法を採用している分野を少しはあります。(中略)減点法と加点法の違いを一言で言えば、失敗をカウントするか(注2)、成功をカウントするか、ということです。社会生活(注3)を営む大多数の人間は評価を求めて生きますから、適用される評価法に合わせて行動様式(注4)を変えます。失敗がカウントされるから、失敗を減らすように努めるし、成功がカウントされるなら成功を増大させようと努めるわけです。(川口淳一部『「はやぶさ」式思考法 日本を復活させる24の提言』飛鳥新社による)(注1)相対的に:ほかのものと比べて(注2)カウントする:数える(注3)社会生活を営む:社会で生活する(注4)行動様式:行動のしかた

86. 次のうち、減点法のものはどれか。

1. 一定の距離を走って、タイムの短さを競うスポーツ

2. 1か月のミスの回数によって、その人の成績を決めるやり方

3. 赤いコインを取ると一つプラス5点、青いコインを取ると一つマイナス5点のグーム

4. 車の販売会社で、販売した車の台数によってその社員のボーナスの金額を決めるシステム

87. 評価が曖昧になってしまうのは、どのような場合か。

1. 評価する人の多くが、優秀な人である場合

2. 評価される人の多くが、優秀な人である場合

3. 評価する人の多くが、中間レベルである場合

4. 評価される人の多くが、中間レベルである場合

88. 筆者は、減点法をどのようにとらえているか。

1. 減点法は日本人にとってわかりやすいので、これからも広く使われていくだろう。

2. 減点法より加点法のほうがわかりやすいので、減点法はこれから減っていくだろう。

3. 減点法を使うと、人々は100点を目指してよく努力するようになる。

4. 減点法を使うと、失敗やタイムを避けたいという気持ちが強く働くようになる。

「一度」とか「一人」とかいう言葉は数を示すものであり、それ自体には良いも悪いもない。しかし昨今、それらの言葉がとりわけ騒々しく耳を打ち目にとまる(注1)のは、「百年に一度」とか「千人に一人」といった言い回しが多用されているためである。つまりこの「一度」や「一人」における「一」は、百年とか千人といった遥かに(注2)大きな数に対応する「一」であり、確率を表す数字ということになるのだろう。たとえば百年に一度の大災害に見舞われるとか、千人に一人の割合で発生する事故の犠牲者(注4)になるとかいったような形でこの数字は使われる。そして多くの場合、ここの数量表現は、だから実際には人は滅多にそんな困った事態にぶつかるものではありませんよ、と①人々を安心させる働きを担っているような気がしてならない。別の見方をすれば、本人がその確率を承知して暮らしている以上、もし天災に出会っても、天から降って来る人工衛星のかけら(注5)に当っても、医療面でのトラブルに巻き込まれても、誰も責任を問われることはなくなるのかもしれない。確率を示す数字が全く必要ないなどとは思わない。少なくともそれは、ごく大雑把な見当をつける(注6)上では役に立つことも多いだろう。ただ②忘れてはならぬのは、もし何かが起った際には、その当事者は分母(注7)の数字に関係なく、分子(注8)の「一」である点だ。その時には自分にとって分母と分子は同じ数となる。つまり、一分の一になってしまう。だから「一度」や「一人」を気軽に扱って欲しくない。分母は数字でも分子は数字ではないのだから。 (黒井千次「大きな分母」『ベスト・エッセイ2012』光材図書による)(注1) 耳を打ち目にとまる:聞いたり見たりして気にかかる(注2) 遥かに:ずっと(注3) 大災害に見舞いわれる:台風、地震、事故など、とても大変なことにあう(注4) 犠牲者:被害にあった人(注5) 人工衛星のかけら:主に地球の周りを回っている人工物がこわれて小さくなったもの(注6) 大雑把な見当をつける:だいたいこのぐらいだろうと予想する(注7) 分母:a/bのa(注7) 分子:a/bのb

89. 「百年に一度」や「千年に一人」という言い方はなぜ①人々を安心させるのか。

1. そのような言い方は、起こる確率が低いことを示すから

2. そのような言い方は、よく使われていてめずらしくないから

3. そのような言い方は、困ったことが起こらないようにするために使われるから

4. そのような言い方は、人々に困ったことがあっても仕方ないと思わせるから

90. ②忘れてはならぬとは、だれが「忘れてはならぬ」のか。

1. この記事の筑波

2. 確率を示す数字が役に立つと考える人

3. 何かが起った後の当事者

4. すべての人

91. 筆者が主張したいことは何か。

1. 災害の起きる確率を数字で表すことはやめたほうがいい。

2. 「百年に一度」「千人に一人」などの表現を使う人は、根拠をはっきり示すべきだ。

3. 災害の起きる確率を数字で表すなら、人々を安心させる数字を使ってほしい。

4. 「百年に一度」「千人に一人」などの表現は、未当事者の現実の姿を表すものではない。

実力テストを受けたがらない学生がいる。その理由を聞くと、「もう少し実力を付けてから受けたい」と言う。気持ちはわからないでもない。でも、そんなふうに思っていると、いつまでも受けられない。例えば、着物の着方を習っている人が、上手になったら着物を着て出かけようと思う。しかし、どの程度で上手になったといえるのか、判断がつかない。それよりもまず着物を着て出かけてみるといい。しかもちょっと緊張するような場所に。もし最後まで着崩れしなければ、それで自信がつく。語学にしても、まずはレベルに合わせて使ってみることだ。恥をかいても気にしない。そうしているうちにレベルも上がってくる。料理も同様、(  )。批評されながら腕を磨けばいいのだから。

92. ()に入る文として、適当なものはどれか。

1. 自信がつくように、人に教えてもらうといい

2. 自信があっても、人には食べさせないほうがいい

3. 自信ができたら、人に食べさせてみるといい

4. 自信がなくても、人に食べてもらうといい

93. 本文の内容と合っているのはどれか。

1. 物事は、実際にやっているうちに上手になるものだ。

2. 何事も実際にやる前にちゃんと準備する必要がある。

3. 何事も人に批評されると自信がなくなってしまう。

4. へたなのにやるは人に迷惑をかける。

94. 筆者の言っていることに合っているのはどの人か。

1. A:「まだ人に教える自信はないけれどやってみます」

2. B:「あと5キロやせたら水着を買うつもりです」

3. C:「山に登ろうと誘われました。久しぶりなので、トレーニングをつんでからとおもっています」

4. D:「スペイン語を勉強しています。アステカ文明に興味があるので、上手になったらメキシコに行くつもりです」

私はどちらかと言えば根が楽天的だが、昔は営業の強烈なノルマ(注1)に苦しんだこともある。そういう日々の中から①いつしか身につけたことのひとつが「幸せ感のハードル(注2)を低くする」だった。だとえば、あと一歩のところで契約が結べなかった日、会社に戻ってしょげかえる(注3)代わりに「あの社長と一時間も話せるところまできた」と自分の成果を見つけて評価する。そうやって一日を締めくくれば(注4)明日への活力も湧いてきた。仕事そのものも、「仕事は趣味や遊びとはちがう。仕事はお金をもらうのだから、楽しくないことがあっても当たり前」と思ってやってきた。②そこを基準にすれば、少々のことは当然のこととして受け入れられるし、何かいいことがあったときは「お金をもらいながらこんな気持ちを味わえるなんて」と幸せ感も倍増する。どうせ人生の一定の時間を仕事に費やすのなら、その時間が楽しいと思えるほうがいいに決まっている。それに楽しいと思ってすることは、何かとスムーズに運び成果もあがるものだ。こうして循環が生まれてくる。人は楽しいから笑顔になるのだが、「まず笑顔をつくると、それによって楽しい気持ちが湧いてくる」という研究結果があるという。これにならえば、充実感を得られる仕事を手にするには、楽しめる仕事を探すのも大事だが、小さなことでも楽しめるようになることも意外にあなどれない(注5)ポイントだ。 (高城幸司『上司につける薬!-マネジメント入門』による)(注1)強烈なノルマ:厳しい条件で課される仕事(注2)ハードル:ここでは、基準(注3)しょげかえる:ひどくがっかりする(注4)梅めくくる:終える(注5)あなどれない:軽視できない

95. ①いつしか身につけたことのひとつの例として近いものはどれか。

1. ピアノの先生には何も言われなかったけれども、自分ではうまくひけなかったので次はもっと頑張りたいと思う。

2. パーティーの準備をするのが大変だったけれども、みんなが喜んでくれたのでまたぜひ開きたいと思う。

3. 強いチームが相手で試合に勝てなかったけれども、得点を入れることができたのでよかったと考える。

4. 何かを買おうと思っていたわけではないけれども、ちょうど気に入った服が見つかったのでよかったと考える。

96. ②そことは何か。

1. 仕事には苦労があるものだということ

2. 仕事をすれば何かいいことがあるということ

3. 仕事ではお金をもらうのが当然だということ

4. 仕事はうまくいかなくて当たり前だということこと

97. この文章で筆者の言いたいことは何か。

1. 仕剚精一杯頑張ればそれだけ充実感を得ることができる。

2. 仕事もまず表情を意識することで楽しい気持ちが湧いてくる。

3. 自分が本当に好きな仕事であれば笑顔で楽しむことができる

4. 小さいことに喜びを持つことで楽しく仕事ができるようになる。

パリのお店で仕事をしていたとき、①困ったのは、お客様に「寿司はできないの?」「デザート(注1)はないの?」と聞かれたことでした。お寿司は、日本料理とは修業(注2)が全然違うのですが、フランス人にとってみれば「日本レストランなのに寿司がないのはどうしてだー?」となるわけです。日本のイタリアンレストランにピザがなくて叱られた時代もあったのでしょうが、②それと同じような感じでしょう。もちろんそれだけではなく、デザートのないレストランなんてヨーロッパにはあり得ませんから、寿司もデザートも一生懸命勉強しました。その頃の努力は今とても役立っています。世の中にムダな努力は本当にないですね。うちのお店では、お椀の次は、「お凌ぎ」といって、小さなお寿司をお出します。一貫だったり二貫だったりしますが、軽くお寿司を味わっていただきます。これはひと区切り(注3)の合図です。料理の最後は(A)で終わるのですが、途中で一回お寿司をお出しして、ここでとりあえず一段落。ちょっとお腹を落ち着かせてもらって、ここからまたお酒を飲みましょうという気分に持っていきます。 (神田裕行『日本料理の贅沢』講談社現代新書による)(注1)デザート:食後に出される菓子や果物(注2)修業:技術を習って身につけること(注3)ひと区切り:ひとまずの切れ目

98. ①「困ったのは」とあるが、どうして困ったというのか。

1. ヨーロッパにはデザートがないレストランはないから

2. メニューにない料理を出すことは許されなかったから

3. まだ修業中でお寿司をにぎることができなかったから

4. 寿司やデザートは一般の日本料理にはないものだから

99. ②「それと同じような感じ」とあるが、「それ」とは何を指すか。

1. 日本人がイタリア料理の典型をピザだと誤解していること

2. フランス人が日本食のレストランで寿司を食べたがること

3. 日本のイタリア料理のレストランでピザが食べられること

4. ヨーロッパのレストランでは寿司が人気があるということ

100. (A)に入れるのに最も適当な語句はどれか。

1. お酒

2. 気分

3. お椀

4. ご飯